脱「会わない」。劇団ノーミーツが本当に実現したい次の勝ち筋とは

劇団ノーミーツ主宰の3人。左から、林健太郎、小御門優一郎、広屋佑規(撮影=小田駿一)


オンライン・オフラインの垣根を越えていく


──この1年で、オンライン演劇というかたちも浸透してきた感があります。なぜこのタイミングで「リブランディング」を考えているのでしょうか?
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広屋:ありがたいことに、この1年で、「劇団ノーミーツって、会わずにオンライン演劇をつくっている人たちでしょ?」っていうイメージが定着したかなと感じています。当初は正しかったのですが、これまで全力でやってきて、「会わないでつくること」以上に挑戦したいことが出てきたというのが直球の理由ですね。

もっと幅広く、オンラインとオフラインを両立させた新しいエンターテインメントを提案したいと思うようになりました。

最初の1、2作品くらいは、お客さんも「あーオンライン演劇か、なるほどね。面白いね。時代に合ってるね」ってすごく新鮮に観てくれたんですけど、緊急事態宣言が解除されて人々がまた劇場に戻り始めたら、やっぱり「劇場で観るのが一番いい」ってなるわけですよ。
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僕たちも生の体験が一番いいとは思っているんですが、それと同時に、オンラインならではの面白さも追求していきたいなと。

小御門:公演を重ねるうちに「今回はドローン飛びます」とか、「今回は選択肢で結末が変わります」っていう、新しいことをどんどんやり続けてきました。公演ごとに新しいことを実現させるのはかなり大変なのですが、それがすぐ当たり前になっちゃうんですよね(笑)。

広屋:僕らの武器って、「物語」の力と「技術」の力を組み合わせて、新しいコンテンツをつくっていくことだと思うんです。多業種との兼業メンバーが多いからこそ、演劇というかたちにとらわれず、その時代に適したエンターテインメント性の強い作品を柔軟につくっていける創作集団。「会わないでつくる」からはみ出て、もっと自由になる。それがリブランディングの理由です。

──次回作ではどのような挑戦を?

広屋:いま僕らが取り組んでいることの1つは、オンラインとオフラインの融合です。劇場やとある場所で生身の役者が演じるリアル演劇と、ライブ配信の両方を同時に使って上演する新作をつくってみたいです。

:オンライン・オフラインどちらにもそれぞれの違う楽しみ方や仕掛けを用意して、生で楽しむものにしたいんだよね。「生映画」っていうのが近いのかな。

この両立は、正直まだ未開拓の領域。オフラインで公演をやりながらオンラインでも面白く見られる方法や仕掛け、形についていますごく考えています。そのひとつの「解」みたいなものを出せたら。

小御門:僕はその仕掛けを物語に落とし込むための、必然性について悩んでいるところ(笑)。例えば物語の中で語られている視点が2つ存在している必然性が描ければ、配信でも生でも観たくなるかなとか。ちょっとだけ言うと、「真実と嘘」がテーマになりそうです。

いずれにしても、ライブ配信、つまり「生」であることにはこだわっていて、そこで演劇性を担保している部分がありますね。その回でしか観られないアドリブがあったり、芝居そのものが成功する保証がないっていうドキドキハラハラだったりは、エンタメの大事な部分だと思うので。
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構成=高松孟晋 写真=小田駿一 編集=松崎美和子

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