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2021.05.02

高級物件が販売好調、米経済のK字回復傾向が鮮明に

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オンライン不動産仲介会社の米レッドフィン(Redfin)によると、同国の高級住宅の販売数は今年第1四半期、前年比およそ42%増となり、その他の価格帯の住宅を大幅に上回る伸びを記録した。回復傾向が見られる経済において、不平等がさらに拡大していることがうかがえるという。

レッドフィンは売りに出されている住宅全体のうち、価格の上位5%までに入る住宅を高級物件としている(価格の中央値は97万5000ドル、約1億600万円)。「手ごろな価格」に分類される住宅の価格の中央値は、18万4440ドル(販売数は前年同期比7%増)、「中価格帯」の中央値は27万2000ドル(同5.9%増)だった。

また、昨年同期と比べて高級住宅の販売数が最も増加したのは、フロリダ州マイアミ(+101.1%)、カリフォルニア州サンノゼ(+92.3%)、カリフォルニア州オークランド(+82%)、カリフォルニア州サクラメント(+79.3%)、ラスベガス(+72.7%)の各都市となっている。

個人向け金融情報サイト、バンクレート(Bankrate)の主任アナリスト、グレッグ・マクブライドは、失業や収入の減少など、パンデミックの影響を最も直接的に受けた世帯の家計状況が悪化する中、多くの世帯が資産を増やしており、米経済の回復は「K字」型になっていると指摘している。

住宅ローン金利が低水準に抑えられていることで、特に沿岸のリゾート地で、裕福な世帯はより大きな住宅、セカンドハウス、別荘を購入しているという。

米国モーゲージ銀行協会の広報責任者、アダム・デ・サンクティスは、高所得世帯の多くのはパンデミックによる失業の影響を受けておらず、「多くはこれから休暇を楽しむために、貯蓄を使ってリノベーションをしたり、より大きな家を購入したりしている」と述べている。

一方、マイアミに拠点を置くある不動産業者は、「フロリダ州には所得税がないこともあり、南フロリダの高級住宅は買い手にとって非常に魅力的だ」として、次のように話している。

「顧客の多くは、ニューヨークやコネチカットなどの州から来ている。中にはヘッジファンドで働く人たちなどもいる」

「サンフランシスコほど遠く離れたところから問い合わせを受けるのは、初めてだ。また、問い合わせてくる人たちは退職したスノーバード(冬の間だけフロリダ州に滞在する北部州の住民)ではない。現役世帯の人たちだ」

また、パンデミックの影響を受け、近所の住民との接触が避けられないコンドミニアムではなく、隣家との距離がある住宅、中でもウォーターフロントの物件を探す人が多くなっているという。

高価格帯は売り物件が増加


高級住宅市場では今年第1四半期、新たに売りに出される物件が前年比15.8%増加した。一方、その他のすべての価格帯では、市場に出てくる物件が減少していた。

レッドフィンのチーフエコノミストによれば、手ごろな価格の住宅は、大幅に不足している状況だ(同3.5%減)。高級住宅以外の物件を所有している人たちは、新しい家が見つからないことを懸念し、今住んでいる家を手放そうとしないという。

高級住宅は、売りに出されてから買い手がつくまでの期間も大幅に短縮されており、平均日数は61日。昨年同期と比べて、38日少ない日数となっている。

編集=木内涼子

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