シンガポールの投資家らも、国際的な代替タンパク質企業を誘致しようと積極的に活動している。シンガポールのベンチャー投資会社TRIRECは最近、米消費者向け包装商品企業ポスト・ホールディングスとともに米ミズーリ州の代替肉企業ハングリー・プラネット(Hungry Planet)のシリーズA資金調達ラウンドを率いて、2500万ドル(約27億円)を上げた。
ポスト・ホールディングスの子会社マイケル・フーズ(Michael Foods)のマーク・ウェストファル社長は筆者に対し「植物由来の代替肉は、より主流になりつつある」と述べ、「ハングリー・プラネットの急激なイノベーションとともに当社の強みや規模を活用することで、営業や流通、サプライチェーン支援を加速できる」と続けた。
ハングリー・プラネットの共同創業者であるジョディー・ボイマンとトッド・ボイマンは、シェフが作った植物由来の豚肉・鶏肉・ラム肉・カニ代替商品など、本物のような肉の味と食感を備えた同社の商品は世界の消費者を納得させることができると述べた。
同社は今回の資金調達により生産拡大を実現し、肉と同水準までコストを下げて二酸化炭素の排出量を減らせることが見込まれている。
ジョディー・ボイマンは筆者の取材に対し「当社は小売と電子商取引へも拡大していて、現在はコストコやアマゾンなど人気の電子商取引サイトでも販売されている。第2四半期後半から第3四半期初めには、厳選された国内の食料品店でも流通する予定だ」と説明した。
TRIRECは以前も、植物由来の代替肉商品「株肉(Z Rou Meat)」を作る中国の優膾(YouKuai)に投資している。TRIREC共同創業者のメルビン・ヨーによると、同社の目標は営業・生産の広大なネットワークを活用し、ハングリー・プラネットのアジア全土での成功を支援することだ。
ヨーは筆者に対し電子メールで「シンガポールは小さな島国で、食べ物が国民的娯楽だ。ハングリー・プラネットの植物由来肉のような革新的で目新しい食べ物が強く求められているのも驚きではない」とコメントした。「ハングリー・プラネットが試食セッションで絶賛されたことで関心が非常に高まった。同社のシンガポールでの公式な立ち上げを楽しみにしている」
ヨーは、TRIRECはまだ地元の植物由来タンパク質企業を発掘していないものの、将来の投資対象として同地域のスタートアップには常に注目していると補足し、「私たちは、植物由来を追求することが世界の構造的なトレンドだと強く信じている」と述べた。