今回の提携は、日野が持つ商用車のノウハウと、REE社が持つEV(電気自動車)のテクノロジーを融合させることを目的としている。両社は、REE社のEVテクノロジーである「REEcorner」を活用して、2022年までに次世代の商用EVのプロトタイプを開発し、並行してビジネスモデルの検討や実証実験を進めていくという。
REEのモジュールは、車両から切り離すことが可能で、独立したユニットとして物やサービスの配送に活用できる。このフラットモジュールの「FlatFormer」と呼ばれるバージョンは、2019年の東京モーターショーの日野自動車のブースで展示された。
「今回のコラボレーションの出発点は、2019年の東京モーターショーで当社が展示したFlatFormerのコンセプトだった。そのコンセプトが現実に近づいていることを非常に嬉しく思う」と、日野の下義雄CEOは声明の中で述べている。
REE社は今年2月に、SPAC(特別買収目的会社)の「10X Capital Venture Acquisition Corp.」との合併を通じてナスダック市場に上場すると発表した。合併にあたり、REE社は企業価値36億ドルで5億ドル(約540億円)を調達する見通しで、そこには、インドの自動車メーカー「マヒンドラ&マヒンドラ」や自動車部品大手のマグナ、Koch Strategic Platformsなどからの3億ドルが含まれている。
REE社は昨年、マヒンドラ&マヒンドラと商用EVの共同開発に向けての契約を交わしていた。
日野自動車とトヨタ、いすゞの3社は今年3月に、資本業務提携を結び、商用車の自動運転や電動化など「CASE」と呼ばれる次世代技術への対応で協業すると発表した。協業に向けて3社は、新会社の「Commercial Japan Partnership Technologies(コマーシャル・ジャパン・パートナーシップ・テクノロジーズ)」を設立し、トヨタ自動車の商用車部門を率いる中嶋裕樹がトップに就任した。
3社は、バッテリー電気自動車(BEV)や燃料電池電気自動車(FCEV)に加え、自動運転テクノロジーや商用車向けの電子プラットフォームなどを開発していく予定という。