ビジネス

2021.05.06

「10年長期パートナーシップ」が乗り越えた壁


佐宗:谷内さん、松崎さんは「ない未来を見据えて、前進していく」ビジョナリーなリーダー。かつ、新しい価値を創出するという、社会に対する価値のつくり方の「座組み」をつくる先進的なチャレンジをされている。

グローバル企業とNPO、グローバル財団が組むことで、お互いの資産を社会的事業につなげていく。それも企業が一方的に支援するのではない。(官でも民でも第三セクターでもない、社会のためのマルチプラットフォーム型の)プルーラルセクターとして、社会的な事業を実施するスキームがビジネスとソーシャルを融合するスキームではないかと思っている。

松崎:現在、1.共体験でそれぞれの個性や強みを理解する、2.見えるに関するイノベーションを創出する、3.視覚障がい者のQOLを向上するという3つのゴールに向けて動いている状況です。今年に入って、取り組みを発表できるのではないかと思っています。

谷内:今後、これらのゴールに向けて、さまざまな接点が出てくると考えています。我々がもっていないケーパビリティをもっている企業や団体と集まるハブになればと思っています。1社でできることは限定されます。世の中で変化を起こそうとすると、企業だけではなく、パブリックセクターや教育機関をはじめ、さまざまな組織や人が絡み合ってこないと最終的な社会変化は起きないと思っている。そこにある「人の善意」はすごく大事にしたいと思っていますね。

佐宗:ビジョン型の事業であるほど、同時に実現するためのガバナンスが重要になる。善意自体が場のルールになるという意思決定の基準、定義を設定することで、はじめて善意が善意として機能するのではないでしょうか。谷内さんのような企業のトップがこうした連携を主導し、多様な資産がいいかたちで循環していくモデルをつくる。今後、多くのリーダーたちもこの流れに続いていく。そんな時代の転換点を感じています。

文=フォーブス ジャパン編集部

この記事は 「Forbes JAPAN No.079 2021年3月号(2021/1/25発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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