なかでも、カルト的人気を誇るブランド「ランドローバー」のチャレンジは、常識を壊すものであった──。
ホフマン社長が語った「ブランディングを超えて」
「信者」の獲得を目指すカルトブランディングのカンファレンス「ザ・ギャザリング」が4月19~21日、バーチャルイベントとして開催された。筆者は昨年、カナダで開催された同カンファレンスに足を運んでいる。今年はバーチャルイベントということで、熊本のオフィスからオンライン参加した。
カンファレンスでは毎年、注目に値するカルトブランドを表彰している。今年はカーブランド「ランドローバー」、「ネットフリックス」、「カワサキ」、ビールブランド「バドワイザー」、ECプラットフォーム「ショッピファイ」などが受賞した。
2021年に表彰されたブランドの一部
例年、受賞ブランドの担当者は、カンファレンスでプレゼンすることになっている。ランドローバーについては、ジャガー・ランドローバー・カナダのウォルフガング・ホフマン社長が登壇。「ブランディングを超えて」と題しプレゼンした。
99のヘアピンカーブと999段の石段への挑戦
プレゼンでホフマン社長は、度々「チャレンジ」という単語を口にした。ランドローバーが大切にする姿勢である。一例として、ある動画が流された。
場所は中国・湖南省の天門山。頂上へとつながる999段の石段を前に、ランドローバーの車「レンジローバースポーツ」が停車している。ハンドルを握るのはル・マン24時間耐久レースを制したレーシングドライバー、ホーピン・タン。
次の瞬間、アクセルを踏み込むと、車は斜度45度の急な石段を一気に駆け上った。山を包む濃い霧が、チャレンジの困難さを連想させる。しかし車が止まることはない。車はフォグランプを点灯させたままゴールに勢いよく入った。車から降りたホーピン・タンは、左の拳を何度も振り喜びを表現する。緊張から解き放たれた瞬間である。日本時間の早朝、リアルタイムでプレゼンを聴講した筆者は、動画に釘付けとなった。