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2021.05.03

3年以内に日本中へ。Luupがつくる新たな「短距離移動インフラ」

投資家 中路隼輔(左)と起業家 岡井大輝(右)


岡井:いざヒアリングすると9割以上の人が「楽しいから乗る」と答えた。シェアサイクルと比較してキックボードの利用料金は倍以上高く、よほどの理由がないと乗らないはずなんですが、「だって毎日の通勤楽しいほうがよくない?」と。それも半年、利用している人が言う。「移動の楽しさ」が根本的な理由などは、直接聞いてみて腹落ちした。

中路さんに投資してもらった理由は、市場やファイナンス、コーポレート・ストーリーをはじめとした、マクロの視点はもちろんですが、20代という同世代の投資家というのも大きいです。

同じくらい人生懸けて、死ぬ気でいるか。中路さんは20代で成果を出さないと次のキャリアがない。僕も同様で、Luupくらい大きな事業を3回、4回連続で成功させて、孫(正義)さんが見える。1回でも失敗したらキャリアがない。だから、100%の熱量で挑み、かつ、お互い、世界の中の同世代で特異点であり続けないといけないと厳しく評価し合っています。

中路:ダンジョンを一緒にクリアして上がっていく存在で、かつ、お互い、負けられない。今後については、事業が立ち上がり、やっとシードラウンドが終わったと思っているので、本当の意味での経営を期待したいですね。

岡井:僕らのシェアリング事業は、事業モデルが違う。スマホでQRコードを読み取って解錠するのではなく、乗車時に降車ポートを指定しなければいけない。そのため、人力で、定常的に再配置せず、アルゴリズムで徹底的に管理できる。このモデルの完全検証と、世界と差が開かないように電動キックボードの規制の適性化についても進めていきたい。

3年以内に、日本中に広めて、かつ、通学や通勤に使ってもらうくらいの安心感を醸成しなければいけないので、全然時間がないですね。


なかじ・しゅんすけ◎ANRIプリンシパル。グーグルにてwebマーケティング支援、LUXA、DCM Japanを経て、2018年にANRIに参画。主な投資先は、Luup、SYN、UPSIDER、Dinii、ambr、VARK、PitPa。1991年生まれ。

おかい・だいき◎Luup代表取締役社長兼CEO。東京大学農学部卒業後、戦略系コンサルティングファームに参画。2018年7月、Luupを創業。介護士版Uber事業を立ち上げるも撤退。電動マイクロモビリティのシェアリング事業を開始。

文=山本智之 写真=平岩 享

この記事は 「Forbes JAPAN No.079 2021年3月号(2021/1/25発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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