キャデラックは、Lyriqの予約受付を2021年9月から開始し、価格は配送込みで5万9990ドル(約647万円)からとなっている。ただ、最近のトレンドで、全てのオプション機能を搭載したローンチエディションが先行発売されると見られ、約6万ドルのバージョンをいつ購入できるかは未定だ。なお、ローンチエディションの価格は公表されていない。
6万ドルのLyriqは、驚くほどスタイリッシュな外見をした5人乗りのクロスオーバー車で、航続距離は300マイル(約483キロ)となっている。テスラのモデルXが360マイルであるのに比べて短いと感じるかもしれないが、GMの見積もりは保守的で、同社のシボレー・ボルトは公称の航続距離である259マイルより長く走行できる。一方、テスラ車は、公式数値に達しないことが多い。
キャデラックは、Lyriqのようなサイズの車をこれまで生産しておらず、他社でも類似するモデルは少ない。Lyriqは、長さ196.7インチ(約5メートル)、高さ63.6インチ(約1.6メートル)で、キャデラックXT6より長さで2インチ、高さで6インチ短い。おそらく形状が最も近いのは、レンジローバー・ヴェラールだが、キャデラックに比べると10インチ短い。
前後車軸の間には、GMが開発したリチウムイオン電池「アルティウム(Ultium)」が搭載されている。100kWhのバッテリーパックには、アルティアムバッテリーのセルが12モジュール組み合わさっている。テスラのモデルXにこれと同じサイズのバッテリーを搭載すれば、価格は3万ドル高くなる。一方、テスラ車はデュアルモーターであるのに対し、Lyriqは最大出力340hpのシングルモーターで後輪駆動となっている。
10分間の充電で120キロの走行が可能
Lyriqは、出力190kWのDC急速充電に対応しており、10分の充電で76マイル(約122km)の走行が可能だ。また、19.2 kWのAC充電モジュールが搭載されているが、これは通常の高級EVに搭載されているものに比べてパワーが2倍だ。自宅に19.2kWの充電機器があれば、1時間の充電で52マイル(約84km)の走行が可能だ。GMは、生産が近づいたら充電機器やアクセサリーに関する情報を明らかにするとしているが、充電機器を自社で提供するか、対応機器を推奨するかどちらかになりそうだ。
エクステリアで前回の披露から変更があったのは、サイズが大きくなったことと、米国では法律で認められていないカメラに代わってミラーが付いていること、そして、ホイールとタイヤが少し小さくなったことだ。20インチのアルミホイールが標準だが、オプションで22インチを選択できる。前面グリルに採用されていたピンストライプの照明とバックライト付きのロゴはそのまま残っている。
内部には、5つの座席に加え、33インチのLEDパネルを搭載した高解像度の曲面ディスプレイが、Aピラーからダッシュボードの中央にかけて設置されている。インフォテインメントには、グーグルの「Android Automotive」を基盤にしたGMの独自システムが採用されている。画面のイメージ画像には、グーグルプレイやグーグルアシスタントのアイコンのほか、グーグルマップが運転席の正面に表示されている。