ピグレッツの2人は会社員として働きながら、2020年4月からYouTubeやインスタグラムで同性カップルの何気ない日常やありのままの姿を発信している。2人が住む都内の区では、パートナーシップ宣誓制度がなく、取得していない。
千田副住職は昨年末から埼玉県のLGBTQの当事者団体「レインボーさいたまの会」に、模擬挙式に参加してくれる当事者のカップルを探していたが、女性のカップルでメディア出演もできる人たちが見つからなかった。そこでYouTubeを見ていたところ、たまたまピグレッツの動画を見かけた。日常生活を発信する2人の動画は「人を選ばず、誰でも楽しめる内容で、インスタグラムを通じて声をかけました」と語る。
突然のオファーに、ななさんは「嬉しいという感情が湧き上がってきました」と振り返る。ももさんは「制度上、私たちは戸籍を入れられないのですが、隠してずっと一緒にいるよりは周りの人に祝福してもらえるように将来的に華やかに結婚式をしたいねと、2人で話していたところでした」と打ち明ける。
世界的にも珍しい2人の白無垢姿 祝福を受け実感したこと
今回の模擬挙式では、市内のLGBTQフレンドリーを掲げるレンタル着物店「れんたるきものや寛 kan」が衣装提供し、生花店「Angelique」が装飾に協力した。千田副住職によると、綿帽子と白無垢を身につけた2人の花嫁姿は世界的にも珍しいという。
ななさんは模擬挙式前に、白無垢姿のももさんを見て涙が溢れてきた。挙式中は一般の参列者からフラワーシャワーで花びらを浴び、「綺麗だよ」と声をかけてくれる人もいた。ななさんは「模擬ではありましたが、2人にとっては素敵な経験で、愛を確かめ合えた日」と語り、ももさんも「最初は模擬で写真を撮ってもらう認識でしたが、みなさん温かい目で見守り、祝福してくださったので特別な日でした」と笑う。
最明寺は色鮮やかな花手水も名物で、毎週金曜に入れ替えをしているほか、着物を着て頭に生花をまとい、記念撮影する「花まとい」なども企画している。今回の花手水は生花店の協力で、レインボーをイメージした6色の花をあしらったものと、2人が希望した紫のものを2種準備した。