WAPに参画する8リーグのうち、WEリーグは「DAZN」で配信。ほか7リーグは、2021年度からスポーツ中継専門の動画配信サービス「SPOZONE」を通した配信がスタートする。個別のリーグでは十分な対応が難しかった情報の周知、観戦習慣の確立といった部分でも、大きな後押しとなるだろう。WAPとの契約は3年間で、1年間の放映権料は合計1億円。各リーグに試合数で按分され、貴重な財源としても生かされる。
「JDリーグは『ソフトボールで社会を笑顔に』というテーマで始まるんですけれども、まだまだマイナーな競技で、しばらくは無観客試合も続くかもしれない。SPOZONEで皆さん見てくださっているようでありがたいと思っています」(JD・宇津木)
「Wリーグも10月半ばに開幕するんですけど、配信が絶対に会場での観戦にもつながると思っています」(W・河瀨)
競技を越えたアライアンスの価値
岡島チェアはWAPという競技を越えたアライアンスの価値を強調する。
「これまでの古い体質から抜け出すにはリーグ全体、そしてWAPの力が必要になってきます。競技を越えた横のつながりを作って、女性スポーツ全体として盛り上げていく取り組みができれば、すごくいいなと思っています。
昨年のWAPのSNS研修は良かった。選手たちの刺激になって、早速効果があった。WEリーグでも理事や事務局スタッフ、各クラブの幹部候補生、もちろん選手に対しても、色々な研修を行っていますので、ぜひシェアさせていただきたい」
宇津木キャプテンは指導者、リーグに参画する企業の担当者も含めた研修体制の充実を訴える。
「指導者の指導をしていかないと、潰れていくんじゃないかという心配をしています。今は選手の立場が強くて、指導しづらい面があるじゃないですか? 指導者のほうも選手たちの意識改革をしなければならないわけですから、研修を受けたり、勉強をしたりしなければいけません。
岡島さんが仰るように、リーグの運営を考えた時に、企業間の意思疎通も重要なポイントですよね。今回JDリーグができて、会議に各企業の部長さんたちが来ますけど、その場で決められないんです。とりあえず聞きました、会社に帰ってお伺いを立てて、また同じような会議の繰り返し。今後はこういったところも考えていかないといけない。
そして、競技の面でも、例えばさまざまな時代の変化の中でどのように金メダルにたどり着いたかといったことの共有にも必ず意義があると考えています。麗華監督が5年間、勝つための色々な計画を緻密に立てて、上野選手をはじめ、彼女たちが強い覚悟と準備をもって臨んだ結果が金につながった。他の競技にも役立つ情報があるはずです」