女性の観客を増やす! 女子リーグが示す競技を越えたアライアンスの価値

Photo by Herve Bellenger/Icon Sport via Getty Images


「例えばサッカー協会では、柔道の山口香さんに理事になっていただいていて、非常に助かっています。他のスポーツ団体と横でつながっていくというのも、私たちはこうでしたと言い合えたりして、将来的にはいいんじゃないかと思います」(WE・岡島)

五輪を経て、スポーツ熱が高まるなか、それぞれのリーグが期待することはなにか。最後にそれぞれが今後の展開を語った。

「私たちにとっても、女性スポーツ界にとっても、とにかく一番大切なのは興味を持っていただくこと。コロナ禍ではなかなか難しいかもしれませんが、逆にコロナウイルスの影響で県外に行けないというときに、例えばお子さんを連れて地元のスタジアムに行けばなにか楽しいことがあるというようなコンテンツを作ろうとクラブと一緒に取り組んでいます。ぜひ試合会場にも足を運んでいただいて、選手を応援していただきたいと思います」(WE・岡島)

「ソフトボール協会では、幼稚園・保育園の子たちにソフトやスポーツの楽しさ、人との関わり方を伝える『あそぼーる』という活動をしています。鬼の監督がいて、孫みたいな子どもたちと一緒に遊んでいるんですけれど(笑)。これからはエリートの競技スポーツに加え、将来の子どもたちのための取り組みを、私自身の目標としても頑張っていきたいです」(JD・宇津木)

「私は30年間エンタメ業界にいた人間ですが、スポーツを愛する芸能人、知識人、有名人はもっともっといます。そういう扉もどんどん開ければ、今回話が出たアメリカでの女性スポーツを応援する機運みたいなことも起こってくるはずです。

WAPは昨年の秋に立ち上げられたばかりですけど、扉の外との行き来も自由にできる団体になったら、可能性がすごく広がると思ってワクワクしています。私は人生の金メダリストになりたいと思っています。皆さんもそれぞれの道で人生の金メダリストになっていきましょう」(W・河瀨)


(上列左から) WEリーグ岡島チェア、Wリーグ河瀨会長、JDリーグ宇津木キャプテン
(下列左から) WAP事務局: 田口事務局長・鈴木氏・PwCコンサルティング菅原氏


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岡島 喜久子◎中学2年時に日本初の女子サッカークラブとして誕生した「FC ジンナン」に入会しプレーを続け、社会人になった年に日本女子代表入り、その後海外転勤を機に引退。早稲田大学商学部卒。ケミカルバンク(現・JPモルガン・チェース銀行)やメリルリンチなど金融企業を経て、2020年7月、WEリーグ(公益社団法人日本女子プロサッカーリーグ)初代チェアに就任

河瀨直美◎映画作家。奈良を拠点に映画を創り続け、一貫したリアリティの追求による作品は、カンヌ映画祭をはじめ国内外で高い評価を受ける。東京オリンピック2020公式映画監督、2025年大阪・関西万博プロデューサー兼シニアアドバイザーを務める。中学、高校時代にはバスケットボール部に所属し、高校在学中にキャプテンとして沖縄・海邦国体に出場。2021年6月、Wリーグ(一般社団法人バスケットボール女子日本リーグ)会長に就任

宇津木 妙子◎中学1年時にソフトボールを始め、強豪・星野女子高等学校を経てユニチカ垂井に所属、1974年に世界選手権出場。引退後、1997年に日本代表監督に就任し、2000年シドニー五輪で銀、2004年アテネ五輪で銅メダルを獲得した。2005年に日本人初、国際ソフトボール連盟殿堂入り。その後も監督業を続けながら、2014年には日本ソフトボール協会副会長、世界野球ソフトボール連盟執行理事に、2020年9月、一般社団法人 日本女子ソフトボールリーグ機構(JDリーグ)副会長、2021年3月に副会長兼キャプテンに就任

文=大島和人 編集=宇藤智子

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