ナイキは全ての返品された商品を検品し、最大限新品に近い形に修繕してから状態の分類を行う。その後、靴は販売のため、ブランド店舗に送付される。各商品の価格はモデルと状態を踏まえて決定される。
箱には、靴の状態に関するメッセージが記載される。再販モデルは全てナイキの60日間の返品期間の対象となり、靴が要件を満たさなかった場合はこの期間中であればいつでも返品可能だ。
ブレーントラストの業界専門家の中には、このコンセプトがアパレル業界の他の変化に合わせたものだと指摘する人もいた。
リスク管理ソリューションを提供する米企業G2ウェブ・サービシズ(G2 Web Services)のダン・フレックリング社長は「軽く使用済みの商品がちょっとした流行になっていて、それはザ・リアルリアル(The Real Real)や(現在はギャップやメイシーズと提携している)スレッドアップ(ThredUp)、ポッシュマーク(Poshmark)の成長からも示されている」と述べた。
同社はこの新サービスを、より手頃にスニーカーを購入できる方法としてだけではなく、二酸化炭素の排出量や廃棄物ゼロを目指す同社プログラムの一環として宣伝している。返品されたスニーカーのうちリファービッシュドのプログラムで再販売されないものは、ナイキの地域パートナーに寄付されるか、別の商品にリサイクルされる。
現代のトレンドを融合した動き
仏コンサルティング企業キャップジェミニの消費財・小売・流通担当AVPを務めるベンキー・ラメシュら専門家は、このサービスが現代の2つのトレンドを融合させるものだと考えている。
ラメシュは「ナイキはかなり昔から中古スニーカーを販売できたはずだが、ブランド戦略に影響を与える恐れから実行しなかったのだろう」と述べた。「しかし、消費者が社会的目的を追求する企業を重視し、ジェネレーションZやミレニアル世代が使用済み商品を愛用していることを踏まえると、ナイキが返品された商品を販売して金を稼ぎ、一方で会社のイメージを引き上げる上で機が熟している」
ナイキは最近、ブランド評価をまとめる英企業ブランド・ファイナンス(Brand Finance)により、7年連続で世界で最も価値のある衣料ブランドに選ばれた。
ただブレーントラストの少なくとも1人は、ナイキのこの評価が今回のような動きにより損なわれる可能性があると考えている。
コンサルタントのケン・ロニエイは「再販売スニーカー市場は存在するものの、それに公式ブランドを与えることは貪欲な、あるいは必死な動きに見える」と述べ、「ナイキは第三者小売業者から距離を置く高級志向のブランドを目指しているのだろうが、低級な小売式の割引棚を作っているだけだ」と批判した。