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日本イトミック 代表取締役社長 守屋浩文

製品と顧客をいちずに思う姿勢で
課題解決と顧客満足を実現


日本イトミックは、業務用電気給湯機器(温水器、給湯器、湯沸器、瞬間湯沸器、ボイラー、業務用エコキュート、給湯ユニットなど)の企画、設計、開発、製造、販売およびメンテナンスを行う会社だ。汎用型の家庭用ガス給湯器ではなく、個別のニーズに応じた業務用電気給湯器で勝負するという基本方針は、1948年に会社を興した初代社長の時代から堅持している。3代目の代表取締役社長を務める守屋浩文は、兵法の大原則に逆らわない。すなわち、「勝てる領域で戦う」セオリーから逸脱しない。

「創業者は反骨心と進取の気性に富んだエンジニアであり、ものづくりを愛する人でした。まだ世の中にない製品で社会に貢献することに使命を見いだしていたのです。その意志を受け継ぎながら、国内唯一の電気給湯機器専業メーカーとして独自性に磨きをかけていく力こそ、日本イトミックのコア・コンピタンスと言えるでしょう」



例えば、大手コーヒーチェーン店でエスプレッソをつくる際に使われている小型電気温水器。他社が「2秒以内に92℃以上」という厳しい条件を満たせずにコンペを降りるなか、日本イトミックは放熱ロスを最小限に抑えて見事にクリアしてみせた。しかも、店員がやけどしないように配管や水栓内部に耐熱シリコンチューブを組み込んだ特殊仕様で納品を遂げている。耐熱素材を探し出すところからの出発だった。こうした実例は、枚挙にいとまがない。オフィスビル、飲食店、コンビニ・スーパー、宿泊施設、スポーツ・温浴施設、病院、老人福祉施設、学校・保育所、工場などで、これまでに積み重ねてきた供給実績は膨大なものとなる。

日本の製造業において顧客の要望に合わせてオーダーメイドやカスタマイズを行うメーカーは数多い。しかし、部品の点数や在庫が増えるばかりで高コスト体質に陥るというジレンマを抱えがちだ。日本イトミックでは、守屋が参画した2010年以降に「標準シャーシ・プロジェクト」が始動。製品群と部品群を見直しながら、設計のモジュール化を進め、背骨となる共通パーツとカスタマイズパーツの整理を行った。社内の部門を横断する精鋭5名から成る「開発委員会」という特別チームを立ち上げ、そこに守屋も加わり、スピーディな意思決定とともに改革を断行していったのだ。これにより、顧客満足度を引き上げると同時に利益率を高めることにも成功。結果として、19年度には「10年連続増益」「過去最高収益」「業界トップの営業利益率」というトリプルクラウンを達成している。

「勝てる領域で着実に勝利を挙げる」ということは、「日々、顧客満足度を研ぎ澄ませていく」ということと同義だ。「日本イトミックは顧客にフォーカスする姿勢が徹底できている」と、守屋は胸を張る。

「営業の部門には『お客さまに頼まれたことは無理だと思わずに食らいつけ』と伝えています。また、営業はもとより、日頃から開発部門の社員も顧客との接点を頻繁にもてるように工夫しています。社内ではよく『市場原理にさらす』という表現を用いていますが、専業メーカーの強みは『顧客ドリブン』になれるところです。そのために社員一人ひとりの裁量を広げていて、自分で考え、完結できるような仕事をできるだけ多くつくるようにしています。顧客や同僚からの評価が肌で感じられず、仕事が味気ないものになってしまってはならないのです」

どのようなビルにも商業施設にも給湯の設備は組み込まれているものだ。しかしながら、空調や照明、エレベーターと比べれば、マイナーな設備とされる傾向にある。裏を返せば、国内唯一の電気給湯機器専業メーカーである日本イトミックほど電気給湯器のことを真剣に考えている集団はわが国に存在しない。そのことを自覚して、常に自問自答を繰り返しながら、顧客と真剣に向き合い続ける。顧客の心までも沸かす製品とアフターサービスのクオリティは、そのピュアプレイのたまものだった。




守屋浩文◎大学卒業後、コンサルティングや投資の世界でキャリアを積む。2010年、日本イトミックに入社。16年、創業家出身の伊藤浩貴から代表取締役社長のバトンを受け継いだ。大切にしている言葉は、「平常心」。プライベートでは読書、筋トレ、テニスに時間を費やす。
https://www.itomic.co.jp


グレートカンパニーアワードとは
『グレートカンパニーアワード』は社会性・教育性・収益性・成長性・環境性を兼ね備えた企業を賞賛するとともに、企業の社会的意義を広めるために、一般財団法人船井財団が開催するアワード。本年度は、約9,000の選考対象から、さまざまな業界で活躍する17社をノミネートし、そのなかから特に優れた7社の受賞を決定した。

<グレートカンパニーに必要な条件>
.持続的成長企業であること/2.熱狂的ファンをもつ、ロイヤルティの高い企業であること/3.社員と、その家族が誇れる、社員満足の高い企業であること/4.自社らしさを大切にしていると思われる、個性的な企業であること/5.地域や社会からなくてはならないと思われている、社会的貢献企業

<各賞>
グレートカンパニー大賞/顧客感動賞/働く社員が誇りを感じる会社賞/ユニークビジネスモデル賞/社会貢献賞/業績アップ賞

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グレートカンパニーアワードの連載ページはこちら
https://forbesjapan.com/feat/funai_soken/

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