サブスクもデリバリーも。 行かなくても楽しめる百貨店サービス3選

百貨店のサービスは、ここまで進化していた(Shutterstock)


YourFIT365 Trialでは、店舗に行かずともセルフ採寸した足のデータをアプリに登録すると、自分の足のサイズに合った靴がレコメンドされ、そのままオンラインで購入することもできる。

伊勢丹
3D計測機での採寸の様子(編集部撮影)

自分の足型を三越伊勢丹のアプリと連携させることで、購入履歴の閲覧や店舗の担当者への問い合わせもスムーズに行うことができる。さらに伊勢丹新宿店では購入時の担当者からLINEを用いたチャット接客を受けることができ、商品購入後もお手入れの仕方や「お店で履いた時は気づかなかったが、本当にこのサイズで良いのか」といった疑問を気軽に聞くことができる。

三越伊勢丹をはじめとした他の百貨店でも、3D技術や、撮影した写真と簡単な情報から高精度な身体サイズが計測できる技術を用いた採寸方法など、非接触でサイズを測れるサービスが導入されつつある。こうした採寸方法はコロナ禍で人との接触が気になる人や、外出制限により外でのショッピングは叶わないが、身の回りの物を失敗せずに新調したいといったニーズに応えることができる。

採寸してみると「これまで実は合わないサイズを履いていた」とわかることもあるようだ。一度自分のサイズがわかれば、難しい靴選びやスーツのオーダーなどもより楽しめるにちがいない。百貨店ならではの個人に合わせたコンサルタント技術が、デジタル上でも発揮される好例だ。

野間は「計測は無料なので、サイズだけ測って他の店で買い物をする際の参考にすることもできます。お客様の悩みや要望の解決を優先する姿勢は、結果的に百貨店への信頼やロイヤルティを高め、ひいては購買にも繋がるかもしれない。ギフトの相談をできる人がいるように、百貨店は昔からコンサルティングやソリューションといったキーワードを大事にしています。その延長線ですよね。婦人靴以外にも紳士靴やボディースキャンサービスも始まっています」と語る。

2021年、新サービス開花の年か


各社のサービスとも百貨店ならではの強みを活かし、かつ変化する消費行動を反映して進化していることがわかる。そして野間はこう予測する。

「これまで百貨店は密をつくる商売だった。行列をつくってなんぼ、売れている物が売れるという消費の傾向だったので、大きなイベントを催して人を集め、買い回ってもらうというビジネスでした。しかしコロナ禍によりそうしたことができなくなり、やっと新たなビジネスモデルへの変革に本腰を入れ始めたという意味で、2020年はエポックメイキングな年でした。おそらく2021年は、各百貨店のそうした新たなデジタルを用いた取り組みが、花開く年になってくると思います」

なかなか外出が難しいこの時期でも進化を続ける百貨店サービスを利用することで、新たなショッピングの楽しみ方を見つけることができるかもしれない。

デパート

野間智朗(のま・ともあき)◎1981年生まれ。明治大学法学部を卒業後、2004年より百貨店業界に特化した媒体を発行する株式会社ストアーズ社の編集部に所属。百貨店は文字通り「百貨」を扱うため、衣料品から雑貨、家庭用品、食品、呉服、宝飾品、美術、IT関連まで、様々な分野を取材してきた。近年は副編集長として、ICTを活用した百貨店の新しいビジネスモデルを積極的に追う。

文=河村優

ForbesBrandVoice

人気記事