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Forbes JAPAN Web編集部

百貨店のサービスは、ここまで進化していた(Shutterstock)

百貨店各社に大幅なビジネスモデルの転換が求められている。コロナ禍を機にその気運はさらに高まり、各社はこれまでに培った百貨店ならではのノウハウを詰め込んだ最新サービスを発表している。

百貨店での体験は、もはや店舗に行くだけでは完結しない。足を踏み入れた際の非日常感はそのままに、より身近に百貨店のおもてなしを感じられる進化系サービスを紹介する。

案内人は1955年から続く百貨店業界紙「デパートニューズウェブ」の野間智朗副編集長だ。

憧れのブランドをサブスク、リサイクルも


大丸松坂屋は今年3月から、ファッションサブスクサービス「AnotherADdress(アナザーアドレス)」を開始した。ファッションの本質的な価値とシンプルに生活することを融合させた「新しいファッション体験」をコンセプトとし、これまでのファッション業界を取り巻く大量生産・大量消費の従来型モデルから一線を画すサービスだ。

松坂屋
大丸松坂屋百貨店は昨年9月にデジタル事業開発部を新設、AnotherADdressはその第一弾企画だ。同サービスは百貨店業界内でも革新的だと評判だという(写真=PR TIMESから)

このサービスでは、月額税込1万1880円で国内外のブランドアイテムを3着選び、1カ月間レンタルできる。月額料金には往復の送料やクリーニング代、擦れや傷などに対応する基本的な修繕費用まで含まれている。ウェブで申し込むと宅配便でアイテムが届き、1カ月着用して気に入ったアイテムは、会員価格で購入することもできる。

魅力はなんといっても、百貨店だからこそ実現できたブランドラインナップだ。Maison Margiela、Polo Ralph Lauren、See By Chloé、M Missoniなど、50ブランドのうち9割以上が日本で初めてサブスク正規取扱いとなる。普段は手が出ない憧れの品を手持ちのワードローブと合わせて楽しむことができたり、ファッションの幅が広がることで自身の新たなスタイルが確立されるかもしれない。

まさにクリエイティブな衣服が日常を彩りエンパワーメントするという、ファッションの本質的な価値を感じることができるサービスだ。今後事業拡大に併せて、ブランドラインナップを拡充させていく。

また、サービスを展開する上で、環境への配慮にも腰を据えて取り組んでいる。物流・配送はグリーンロジスティクスを推進する日立物流と手を組み、クリーニングは植物由来成分の洗剤を使うオーガニッククリーニングを推奨し、劇団四季やシルク・ド・ソレイユなど有名アーティストの衣装クリーニングも手がける洗濯ブラザーズが手がける。さらにレンタルできなくなった服は提携する日本環境設計の独自技術により再原料化し、新たな服へと生まれ変わらせる。

このサービスについて、野間はこう評する。

「既存のファッションサブスクとはラインナップが一線を画しているのは、これまでのお取引があったからこそ。この商品調達力は百貨店にしかないです。貸し出す衣服の約7割は新作を都度揃えるとしていて、ファッションが好きな方や人前に立つ機会が多い方にも、至れり尽くせりのサービスではないでしょうか。ファッションのサブスクという成長事業でもありSDGsにも繋がるという観点から、非常に勝ち目があるのではと思っています」

文=河村優

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