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例えば、澤井さんが2008年から担当する上原さんのマネジメントで意識していることは「上原さんの大学入学前の一浪時代とか、ジャイアンツでの1999年のルーキー時代の『涙の敬遠』や、沢村賞を受賞するほど活躍したときは、まだ関わりがないので、いわば自分は何もしていないわけです。

そのような積み重ねがあったうえで、弊社に所属してくれているというのは、その人が積み上げてきた自身の価値を委ねてくれていることなので、そこに責任があります。この人の価値を落とさないように、でも、らしさは出していきたいなという心持ちですね。

例えばメディアでの発信は内容が面白くないと見られないので、その辺りのさじ加減は難しいですよね。ただ前提としてマメに情報を更新していかないとファンも見てくれない。上原さんはSNSも積極的に更新してくださるし、おもしろいのでフォロワーが増えるんだと思います」と澤井さん。


ボストン・レッドソックス在籍中の上原浩治さん(写真右)の取材に立ち会う澤井芳信さん(写真左)(本人提供)。

さらに、スポーツバックスの今後についても聞いた。

「選手のマネジメントがもちろん主たる業務ですけど、企業の悩みをスポーツで解決するようなことをもっと考えていきたいですね。企業がアスリートを起用するとなると、イベントをすることが最も多いと思います。

例えば、イベントで大きな花火を上げてPRするのは簡単ですが、もっと企業によりそってスポーツやアスリートの価値を使って、継続的に課題解決に取り組める、そんな企画を考えたりしたいです。まだまだスポーツビジネスには可能性があると思っています」。

コロナ禍により変化が生じているスポーツ界で、新たな「価値」を作っていきたいと語る。



「衣食住は、誰もが絶対必要なことですよね。一方、スポーツって、人それぞれの定義が違うんですよ。エンタメと捉える人もいれば、健康と捉える人もいれば、教育と捉える人もいる。

スポーツの持つパッションだとか、うまくいっていないときにモチベーションを上げてくれるとか、汗をかいて発散するとか……つまり文化といいますか、自分にとってが、生きていくうえで必要でなくても、必要なものという感じですかね」。

スポーツの新たな価値を模索し続ける澤井さん。「スポーツマネジメント」は、彼が人生をかけて続けていく“スポーツ”であると、言えるかもしれない。


澤井芳信◎株式会社スポーツバックス 代表取締役。京都市出身。京都成章高では「1番・遊撃」の主将として1998年に春夏連続で甲子園に出場。夏は松坂大輔擁する横浜高と決勝で対戦し、ノーヒットノーランで敗れ準優勝。その後同志社大に進学。卒業後は社会人野球「かずさマジック」(元新日鉄君津)に入り、4年間の現役生活を経て引退。その後、スポーツマネジメントの会社で経験を積み、2013年に株式会社スポーツバックスを設立。2014年に早稲田大大学院スポーツ科学研究科修士課程を修了。スポーツバックス オフィシャルサイト:www.sportsbacks.com/

「37.5歳の人生スナップ」とは……
もうすぐ人生の折り返し地点、自分なりに踠いて生き抜いてきた。しかし、このままでいいのかと立ち止まりたくなることもある。この連載は、ユニークなライフスタイルを選んだ、男たちを描くルポルタージュ。鬱屈した思いを抱えているなら、彼らの生活・考えを覗いてみてほしい。生き方のヒントが見つかるはずだ。

(この記事はOCEANSより転載しています)

写真=松平伊織 取材・文=市來孝人

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