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制作関係者全員が対象の「リスペクト・トレーニング」

世界190カ国以上で展開している定額動画配信サービスのNetflix。新しい作品を次々と制作し、世界中の人々を楽しませている。

そんなNetflixオリジナル作品の制作現場では、撮影の前に必ず行われていることがある──「リスペクト・トレーニング」だ。職場におけるパワハラやセクハラ防止への理解を深め、職種を超えた議論の場を提供する講習のことで、関係者すべてが対象となる。

監督やプロデューサー、俳優たちはもちろんのこと、カメラや音声、大道具などを担当する制作スタッフ、さらにロケバスの運転手やケータリング業者まで、Netflixの現場では、関係者全員がこのトレーニングを受け終わるまで、基本的にはカメラを回すことはできない。

現場ではどのようにリスペクト・トレーニングが行われているのだろうか。Netflixは、なぜこのような講習を世界の撮影現場で義務付けているのか。

「サンクチュアリ -聖域-」の撮影現場で3月某日に行われたリスペクト・トレーニングを取材した。

スタッフをあだ名で呼ぶのはパワハラか?


ドラマや映画などの制作現場では、作品や映像への情熱やこだわりが高じて、関係者同士が衝突するのはよくあることだという。

また、緊張感を持たせるためにわざと大声でどなる、ベテランスタッフと若手の間に職人のような師弟関係があるため下の意見が通りにくい、無理なスケジュールで徹夜を強要されるなど、今の時代にはそぐわない業界特有の働き方が当たり前になっている現状もあるそうだ。

「サンクチュアリ -聖域-」の関係者のなかでも主に出演者が参加した今回のトレーニングでは、Netflixと共同でプログラムを企画・提供しているピースマインドの田中秀憲さんが講師を務めた。

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講師を務めたピースマインドの田中秀憲さん

今回行われたリスペクト・トレーニングは1時間ほどの座学で、講師の田中さんがスライドを使ってパワハラやセクハラについての基本的な考え方を解説しながら、参加者に意見を求め、議論や話し合いを深めていくかたちで行われた。

たとえば、自分の思い通りに動かない後輩を殴る、「お前この仕事向いていないんじゃないの?」という言葉をかけて精神的に攻撃する、さばけないことがわかっていながら仕事を次々頼むなどは、パワハラの危険性が高いという。

文=松崎美和子 写真=曽川拓哉

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