同調査によると、飼育しようと思った理由の一位は、犬猫ともに「生活に癒し・安らぎが欲しかったから」で、コロナ禍での巣ごもり生活でペットに癒しを求める人が多くなっていることがわかる。伴ってペット関連市場規模も拡大しており、2020年度は前年度比3.4%増の1兆6242億円となることが見込まれている。今後もペットフードをはじめ、グッズやサービスなど、市場規模は拡大していきそうだ。
一方、世界のペット市場に目を向けると、インドなどアジアを中心とした新興国を起点に、人口の多い国々において、今後ペットが増えることは確実視されており、世界での市場規模は、2018年のおよそ14兆円から2030年には2倍以上の30兆円になると予測されている。
「ペットテック」産業、6.8倍の急成長見込み?
活況を呈するペット産業において、注目されているのが「ペットテック」(pet+technology)だ。ペットテックとは、世界一のペット大国米国発祥の、デジタル技術を応用した飼い主を支援する商品やサービスの総称を指す。
現在、日本におけるペットテックのメイン商品は、飼い主の留守中にペットをモニタリングする、AIを搭載した見守りカメラだ。ペットの様子をスマートフォンに通知するものや、カメラの自動追尾機能でペットをいつでも見られるようにした商品などがある。
他には猫の尿の量や回数、体重などを測定し、猫の健康状態を管理する猫用のスマートトイレもある。さらにマイクロチップをペットに埋め込み、GPSやBluetoothの発信機の電波で居場所を突き止める迷子猫のペットロケーターなど、これまでペット関連の商品を扱っていなかった、大手家電メーカーやベンチャー企業の参入により、次々と新商品が登場。国内におけるペットテック市場は、2018年度の7.4億円から2023年度の50.3億円へ、およそ6.8倍の急成長を遂げると見込まれている。
カギは「ペット医療」
しかし、国内のペットテック産業には多くの課題があると投げかけるのは、動物病院の運営をはじめとした各種ペット事業を行う「A’alda Pte.Ltd(アルダ:本社シンガポール)」CEO奥田昌道氏だ。
「A’alda Pte.Ltd(アルダ:本社シンガポール)」奥田昌道CEO
奥田氏は、インド・ニューデリー郊外のグルガオンに2021年2月23日、初の日系動物病院「DCC(Dog Cats Campanions)アニマルホスピタル」を開設。この病院では、最新テクノロジーを活用することで、ペット業界に顕在するさまざまな課題解決を目指しており、そのノウハウを活かし、日本での展開も視野に入れているという。
「日本は今、アメリカ、中国に次ぐ世界で3番目のペット市場です。ペットテックカンパニーも増えているとは思いますが、現況では日本市場だけを見据えて戦っている企業が多いんです。日本市場が大きい分、国内だけで良くも悪くも会社がある程度大きくなってしまいます。しかし、今後日本は人口が減っていく中で、犬や猫の頭数は必然的に減少していきます。ある種、市場が縮小していく中で、日本だけで戦うというのも厳しいんじゃないかと思っています」