テック大手と共同で政府に働きかけ
CTOを務めるトルコ出身のSutayはマイクロソフト出身で、Chefというスタートアップで5年近くエンジニアチームを率いた経験を持つ。
トランプ政権時代には、一部の国に対してビサの発給が制限されたり、パンデミックにより永住権の発行手続きが停止されるなど、バウンドレスにとっては試練が続いた。同社の試算では、トランプ政権の政策によって35万件の永住権申請に滞りが生じていたという。
バイデン政権は移民政策を転換したが、「長年移民を悩ましてきた問題を解決するために、テクノロジーの活用を普及させることが今後の大きな課題だ」とワンは話す。2018年に、バウンドレスの創業メンバーは、ポストメイツやシャッターストック、ワービー・パーカーなどの企業のリーダーと共に、政府に対して公開書簡を送った。
その内容は、低所得な移民の受け入れを拒絶する「public charge rule」に反対するものだった。ワンによると、同社は今でも同規則に反対しており、レディットやツイッター、マイクロソフトなどテック企業のリーダーが署名したアミカス・クリエ意見書(裁判所に提出する意見書)を取りまとめた。
「これは米国にとって非常に悪い政策であり、我々は会社としてどのような行動を取るべきか自問自答した」とワンは話す。最近、父親になった彼は、移民たちの職探しを助け、長期的な支援を行おうとしている。
バウンドレス社には競合が多く、同社がコントロールできない政治的圧力もあるが、ワンは意に介していない。「我々は、世界中の移民が思い浮かべる唯一のサービスになりたい」と彼は語った。