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組織は一つの「生命体」


安斎:CIについて個人同士で対話するというと、よく「個人=現場のメンバー」のみを指すと思われがちです。でも僕は、「経営者個人」のかかわり方も大切な要素だと思う。手綱を緩めて決定権を現場へ、さらにステークホルダー全体へと委ねていくと当然、多様な意見や言葉が飛び交う。中村さんは、こうした人や組織の「複雑性」を型にはめて管理するのではなく、ありのままに受け入れようとする思考をもっているように映ります。ご自身としてはどうですか。

中村:組織を一つの「生命体」としてとらえている点で、安斎さんと共鳴しています。組織開発に際しては、一般的にはどうしても、パーツごとに細分化して、その成果を積み上げていくことで、全体としての目標を達成しようという機械的な発想になりがちです。

もちろんそういうアプローチが必要になる局面もあります。しかし、もっと「つながり合っている生命体」として組織を見つめることもできるのではないか。静的なものとして分解していくのではなく、動的な生命体として流れをとらえる視点、とでも言うのでしょうか。自分自身に関していえば、一見隔たりがあるように見える領域同士をつなげたり、組織全体としてまだ挑んでいない領域に先頭を切って突っ込んでいったりと、新しい流れをつくることが好きですね。それがファウンダーとしての役割だとも思います。

安斎:いい意味で「狭間の人」ですよね。明確にポジションを取ってしまえば、正しそうな結論を出すのは楽なんです。でも、それはしない。異質な領域を行ったり来たりしながら学び続けることを楽しんでいる。両者の境界で生まれる葛藤や矛盾から、どうにかして新しい価値を生み出せないか考えている。イノベーションとはすなわち、「新結合」を実行することです。中村さんのような人材が経営層にいることは、組織全体の創造性を刺激するうえでも重要なことだと思います。


安斎勇樹◎MIMIGURI・Co-CEO。東京大学大学院情報学環特任助教。1985年生まれ。東京大学大学院学際情報学府博士課程修了。2017年ミミクリデザイン創業。21年3月ドングリと合併し現職。

中村真広◎ツクルバ代表取締役ファウンダー/KOU代表取締役。1984年生まれ。東京工業大学大学院建築学専攻修了。2011年8月にツクルバを共同創業。19年東証マザーズ上場、20年8月より現職。


Forbes JAPAN6月号「新しい働き方・組織」論特集では、リンダ・グラットンによる「人生1 0 0年時代」の個人の新しい生き方、世界最強組織ネットフリックスの「組織と個人の関係」、日立製作所・ソニーグループ・ライフネット生命の「CHRO」たちの哲学、楽天・トヨタ自動車・サンリオエンターテイメントほか、企業たちの先進的な取り組み、起業家の新しい挑戦などをラインナップする。

文=安斎勇樹(1、2ページ) 文=加藤藍子(3、4ページ) 写真=小田駿一

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