前回の「世界最高の雇用主」2020年ランキングを発表して以降、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックが発生したほか、社会的正義を求める運動が数々巻き起こり、米国は大きく揺らいでいる。ランキング作成にあたって検討された多くの企業のうち、多様性推進の取り組みに関する情報を公式ウェブサイトで積極的に発信している割合は60%にのぼり、昨年の46%から増加した。DEIの専門幹部を置く企業の割合は28%で、こちらも昨年の18%から増えている。
「最高の雇用主」としてランクインした上位50社のなかで目立ったのは、教育業界ならびに保険業界の企業で、上位のうち34%を占めている。しかし1位に輝いたのは、商業不動産サービスJLL(ジョーンズ・ラング・ラサール)だ。
JLLの多様性およびインクルージョン部門を率いるイングリッド・ジェイコブス(Ingrid Jacobs)は、自社が1位を獲得した要因として、インクルーシブな職場づくりにトップダウンで注力している点を挙げた。たとえば、取締役会メンバーの75%を、ジェンダーや人種的多様性を象徴する人材が占めているという。「それを大変誇りに思っている」とジェイコブスは話す。「その点が、業界内のみならず全般的に見たときの、ほかとの大きな違いだ」
また、米JLLには、従業員主導型のビジネスリソース・グループが9つ存在し、地方支部の数は80カ所以上、8000人を超える従業員が参加している。たとえば、黒人従業員を中心にした「Empower–Black Professionals Network」や、アジア系従業員によるネットワーク「Asian Business Professionals Network」、女性の活躍を後押しする「Women’s Business Network」といったグループが活動を行なっているという。
多様性施策に優れた「世界最高の雇用主」ランキングでトップ10に入った企業や組織は以下のとおり。
1位 JLL
2位 ブーズ・アレン・ハミルトン
3位 クイッケン・ローンズ
4位 アラバマ大学バーミングハム校
5位 フィデリティ・インベストメンツ
6位 SAS
7位 アーカンソー医科大学
8位 ボストン・サイエンティフィック
9位 アフラック
10位 インターパブリック・グループ(IPG)