「テンセントによるWakeDataへの投資は、デジタルトランスフォーメーションが多くの組織で注目され、パンデミックの追い風を受ける中で行われた」と、調査会社IDCでビッグデータやAI(人工知能)を専門とするクリス・マーシャルは述べた。
マーシャルによると、テンセントは同社のSNSアプリにWakeDataのテクノロジーを導入する可能性もあるという。「WakeDataは、テンセントの中国におけるソーシャルネットワークやeコマースプラットフォームとの取り組みからも、利益を得ることになるだろう」と彼は述べている。
今回の資金調達ラウンドには、既存出資元のIDG CapitalとRedpoint China Venturesも参加した。WakeDataは昨年、RedpointとSequoia Chinaが主導し、IDGも参加した調達ラウンドで1000万ドルを調達していた。4月22日のブルームバーグによると、テンセントやセコイアチャイナは、WakeDataの企業価値を2億ドルと評価したという。
深圳、北京、広州にもオフィスを構えるWakeDataは、2018年にCEOで共同創業者のLi Kechenが設立した。同社は、デジタルストアのマネジメントシステムや、ビッグデータサービスを提供しており、顧客には中国の不動産デベロッパーのCountry Garden(碧桂園)や、香港の流通大手ASワトソングループなどがある。
企業のデジタル化とコンピュータ処理された消費者データの活用は、昨年、世界の多くの地域における投資の優先事項となった。IDC Spending Guideのデータによると、アジア太平洋地域におけるビッグデータおよびアナリティクスソフトウェアの支出額は約70億ドルで、2019年から2024年にかけて年間16.1%の成長が見込まれている。
調査会社カナリスのベン・スタントンは「世界の小売業者の多くは、2020年の需要の高まりに対処するための十分なリソースを持っていなかったため、機会損失に見舞われた」と述べている。
しかし、今後はデータに基づいたショッピングの標準化が進むと、スタントンは予測している。「ここ1年の投資戦略によってボトルネックの解消が進んでいく。オンライン需要は今後も高水準を維持し、パンデミック前の水準には戻らない見通しだ」と彼は述べている。