第1話 Vtuber市場で頭角を表すホロライブ、起業の原点は得意領域で戦うこと|カバー 谷郷元昭CEO #1
第2話 収益化できるビジネスモデルの作り方、ホロライブができるまで|カバー 谷郷元昭CEO#2
VTuber界でのポジショニングは“インターネット屋”
──現在「ホロライブプロダクション」として展開されているVTuber事業についてお聞かせください。
VTuber領域には、大きく2種類のビジネスがあります。
1つめは、事務所が主導してタレントプロデュースするビジネス。2つめは、VTuber活動を支援する仕組みを提供するようなビジネス。我々が展開しているのは後者です。
個人クリエイターの皆さま向けにオーディションを開催し、その中から選ばれた人のVTuber活動を支援させていただいています。具体的にはホロライブプロダクションという枠組みの中で、女性VTuberグループ「ホロライブ」と男性VTuberグループ「ホロスターズ」を展開しています。
──VTuberとして活躍したい個人の方々を支援する、という事業なのですね。
コンテンツ領域でありながらも、基本的に我々が展開しているのは「インターネットビジネス」です。つまり「個をエンパワーメントする」というのが基本的なコンセプト。
例えばフリマアプリは「物を売りたい個と、買いたい個を繋ぐ」仕組みを提供するビジネスですよね。我々もVTuber活動したい人たち向けに、VTuber活動できるようなアプリケーションを提供しています。
VTuberコンテンツ領域の中でも“インターネット屋”のポジショニングを取ってるのです。
ファンを熱狂させ続ける仕掛け
──今ではホロライブからデビューするVTuberの多くが、一躍人気になっています。何か工夫されているポイントはあるのでしょうか?
我々はオーディションで選ばれた方々を約5人単位で数カ月おきに「ホロライブ1期生、2期生」といった形で複数名同時にデビューしてもらっています。こうすることで、同期の結束力がすごく高まるんです。
実はこれは、例えば「けいおん!」のような“日常系アニメ”を参考にしながら設計しています。これらのアニメは5人ぐらいの登場人物の掛け合いによってストーリーが成り立っていますよね。
我々もそれに近い形で、1人でデビューさせるのではなく、5人くらいの同期を作り、仲良くコラボしながらコンテンツを発信していける仕組みを作っています。よく「ホロライブは暖かい」とファンの方々に言っていただけているのが嬉しいですね。
──所属VTuberがコンテンツを配信し続けるモチベーションを維持させるための工夫などがあればお聞かせください。
タレントの皆さんには、最初は顔だけが動かせる2Dのキャラクターモデルを提供しています。iPhoneさえあれば配信ができるアプリケーションなので、全世界どこにいても配信できます。
次に、一定のチャンネル登録者数を超えたら全身の3Dモデルを提供します。東京のスタジオで撮影することで、全身姿でライブイベントに出演できるようになるのです。このような段階的支援をすることで、配信モチベーションを高める仕組みを作っています。
例えば、こちらの動画はスタジオからリアルタイムでライブ配信したものです。ライブではオンライン・オフライン合わせて約4万人動員していますので、ここで歌ってダンスパフォーマンスができることはタレントの皆さんにとって大きなモチベーション源になっています。
他にも登録者数が増えると企業タイアップ案件に出演できたり、ライブ限定の新衣装を使えるようになるなど、パフォーマンスの幅が広がる仕掛けをいくつも提供し、コンテンツ配信のモチベーションを維持できるよう工夫しています。