──起業家の素養として挙げられた本物の「ビジョン」(第1話リンク)の見極めとも通ずる部分がありますね。
そうですね。イベントに出席すれば見栄を張れてスタートアップ起業家気分に浸れるかもしれませんが、重要なのは結果を残すことです。
結果を残すために、プロダクトや事業、会社づくりに集中する。その過程でわからないことを相談しあえる本物の起業家コミュニティを作ることが大切だと思います。
──谷郷さんは前回の起業における様々な経験をカバー社の経営に活かされている印象です(第1話リンク)。カバー社を創業するまでの経緯を改めてお聞かせください。
2014年11月に前回起業した会社を売却してから2016年6月にカバーを創業するまで、約2年半の起業準備期間がありました。
実は2015年頃まではインバウンド観光客向けビジネスを構想していました。また「得意領域ではない」領域で戦おうとしてしまっていたのです。
しかしピッチイベントでプレゼンしても散々な反応で、「自分が絶対に負けないような領域」、つまりコンテンツビジネスでチャレンジしなければいけないと考え直しました。
──事業アイディアを選定する上で、他にも大切にされたことがあればお聞かせください。
大切にしたポイントは大きく4つあります。
まず1つめは「市場の成長性」。昨今でいうと、いわゆるデジタル流通革命の波に乗らないと、大きく会社を成長させることは難しいでしょう。
2つめは「市場の黎明期に参入すること」。私が好きな経営者の言葉で「空いてる高速道路を走る」という言葉があります。週末のお出かけも、朝早く起きて空いてる高速道路を走って現地にスムーズに着く人と、遅くに起きて混んでいる高速道路を走って到着が遅れる人がいますよね。
スタートアップも同じで、みんなが良いと思ったタイミングでスタートしても遅い。一足早いタイミングで先にチャレンジしているからこそ急成長できるのです。
3つめは「収益性を確保できること」。
最後の4つめは起業家の素養としても挙げた「得意領域で戦うこと」。言い換えると市場と自分がマッチしていること。
この4つのポイントを抑えることが、成功する上で重要なポイントなのかなと考えています。