──その経験から、「得意領域で戦う」ことを決められたのですね。
弊社はまさに自分たちが勝てるところで戦う、という発想から生まれた会社です。
私は新卒でゲーム会社に入社していますので、若い感性を持った時間を少なくとも1万時間以上はコンテンツ領域に投資しています。業界の名だたるコンテンツホルダーともたくさん仕事をさせてもらいました。ゆえにそれが自然と自分の「得意領域」になっているのです。
それなのに、前回の起業では「地域情報を共有する」という、自分の得意領域と関係の無い領域を選択してしまいました。これは先ほどお話した通りです。
今回はコンテンツビジネスのど真ん中で、たとえ他の著名起業家が参入してきたとしても絶対に勝てるという自信がある領域で勝負することができています。
世の中の役に立つというのは、自分が本当に得意なことを世の中に還元することの結果だと私は思います。聞こえの良い大義名分だけでなく、自分がやる意味を真に問うことが求められるのではないでしょうか。
「心が折れない」ための心構え
──起業家の素養の3つめ、「投げ出さない」についてもお話をお聞かせください。
起業はとにかく色んなことが起きるので、「投げ出さない」でやり抜く事が何よりも大事です。
先ほど前回の起業は得意領域では無かったとお話しましたが、それでも最終的に会社を売却することができたのは「投げ出さなかった」からです。
今回の起業も40代での起業ですので、ラストチャンスかもしれないという背水の陣を引いてやり抜く覚悟を決めています。
──どうすれば「投げ出さない」でいられるのでしょう?
自分一人の力を過信しないことではないでしょうか。経営者の「心が折れる」のが一番怖いことなので、それが起こらないためのセーフティネットを作ることが大切だと思います。
今回の起業においても、利害関係者を初期段階から巻き込むことはかなり意識していました。困った時に相談できる相手がいるかどうか、絶対的に自分を信じてくれる人がそばにいるかどうかが、心が折れそうになった時の心理的安全性に繋がるからです。
一人で戦うのではなく、チームで戦うことで「投げ出さない」環境を作る。
その上で戦う領域を間違えず、適切な努力を続けていれば、必ず成功できると思っています。
(第2話 収益化できるビジネスモデルの作り方、ホロライブができるまで|カバー 谷郷元昭CEO#2へ続く)
谷郷元昭(たにごうもとあき)◎1973年生まれ。カバー 代表取締役社長CEO。慶應義塾大学理工学部を卒業後、イマジニアでゲームソフトのプロデュースを担当後、携帯公式サイト事業を統括。化粧品口コミサイト@cosme運営のアイスタイルでEC事業立ち上げ、モバイル広告企業ユナイテッドの創業に参画後、サンゼロミニッツを創業。日本初のGPS対応スマートフォンアプリ「30min.」を主軸としたO2O事業を展開し、イードへ売却。2016年にカバーを創業。
連載:起業家たちの「頭の中」
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