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2015.05.16 10:21

VERY REAL REAL ESTATE 都心最高級不動産のいま




地方では不動産神話の崩壊が喧伝される背景をよそに、東京都心の一部では中古でもその価値を上げている物件も少なくない。
ここでは、都心の最高級不動産のトレンドを取材するとともに、いま注目すべき物件の条件について考察してみた。

高値安定の高級物件を選ぶなら「都心の3A


総務省が5年ごとに行っている住宅・土地調査によれば、昨今の人口減少問題を受け、2040年には国内の空き家率が43%にも達するという。過疎化が進む地方だけでなく、東京都内においても、すでに売りたくても売れない不動産が増加しているというのが、目を背けることのできない実情なのだ。
そうしたなか、こと東京都心の一部のエリアにおいては、都心回帰現象に加えてアベノミクス効果、また円安を受けての海外からのインバウンド投資の増加、さらには20年の東京オリンピック開催といった好事情が重なる背景もあり、実住層と投資目的層の両方において着実に価値を上げている不動産があるという。
そこでいま、真に価値のある都心最高級不動産の実情とトレンドを探るべく、我々は同分野における大手として知られるケン不動産投資顧問の松本敬子マネージャーを訪ね、話を伺った。「私どもの扱う都心の高級賃貸住宅をあえて具体的な数字で定義するならば、月額家賃30万円以上、占有面積30坪以上という指標がおおまかにあります。不動産賃料は12年に一度底を打ちますが、こういった高級不動産から順にV字回復を遂げつつあります。20年の東京オリンピック開催を前に、投資価値のある不動産をいまのうちに入手しておこうという投資需要は、国内外の両方から見受けられますね」




なかでも、分譲価格で億単位となる高級不動産が集中するのが、不動産業界において「都心の3A」と呼ばれる麻布・広尾、青山・原宿、赤坂・六本木というAの頭文字で始まる3つのエリア。区でいうと、港区と渋谷区の2区となる。「各国の大使館が集まる麻布界隈、国際的にも知名度の高い青山、六本木といったブランド力の高い街の邸宅街は、ほかのエリアで不動産価格が下がった時期も常に高値を保ちました。むしろ地方や海外からの投資が盛んになってきたことを受け、上質な物件においては中古であってもその価値を上げる事例も少なくありません」 では先述の3Aエリアにおいて安定した不動産価値をもつ物件とは、どのような条件を備えているのだろうか。

「ひとつはやはり、高層タワーが安定した人気を誇っています。その双璧といえるのが『六本木ヒルズ』『東京ミッドタウン』ですね。なかでも森ビルの手がけるヒルズブランドは、立地やハードだけでなく、バレーパーキングのようなサービスや街のコンテンツづくりにおける付加価値も高く、不動の人気の理由となっています。また、例えば南麻布の『ザ・ハウス南麻布』のような物件は、元が米荘閣という迎賓館であったという歴史や、有栖川宮記念公園が近いことなど、単に環境が優れているだけでなく、歴史と格式ある立地がほかにはないものとして高く評価されています。こうした場合、高層タワー物件とは逆に、中低層マンションであるという点も、むしろ好環境の証しとしてみなされることもあるようです」

そしてもうひとつ、海外から入ってきた新しい価値創成型の最高級不動産として注目されているのが、英国発のデベロッパー、グロブナーが東京で手がけるリノベーション型高級住宅プロジェクト「ザ・ウエストミンスター六本木」である。これは03年竣工の既存物件の住戸1戸ごとに徹底したリノベーションを行い、付加価値を与えて分譲するという新しいバリューアッドプロジェクトで、このページで取材した物件には、9億円という価格がつけられている。

「都心の3Aというそもそも非常に限定されたエリアにおいて、ゼロから大規模なマンションを建てられる機会はめったにありません。その点、グロブナーは、例えば六本木ヒルズ隣接という希少な立地を重視し、海外デザイナーを起用して1部屋単位でリノベーションを施し販売するという、価値を再創造する新しいスタイルで顧客をつかんでいます。アンチ・スクラップ・アンド・ビルドの考え方も、現代の価値観に合うものとして受け入れられています。300年の歴史を誇る英国企業という出自もありますが、六本木ヒルズの隣というブランド力のあるロケーションも後押しし、国内だけでなく海外からの滞在用住居ないしは投資対象物件として、全体のおよそ40%がインバウンド需要となっています」とは、グロブナー ジャパン リミテッドの廣井康士郎駐日代表の談である。
前出の松本氏は一方で、新しいトレンドとして次のような提言をくれた。
「インバウンド投資の増加もあり、東京都心の不動産価格が上昇してきているいま、高額物件購入のハードルはどんどん高くなっています。そういう意味では、投資用の不動産とは別の考え方で、便利で豊かな都心に、その時々のライフステージとライフスタイルに合わせたベストな賃貸物件に住まうというのが、本当のスマートな都心居住なのかもしれません」


価値が下がりにくい優良都心物件の選び方

まず前提となる条件は、「都心の3A」と呼ばれる麻布・広尾、青山・原宿、赤坂・六本木の3つのエリアに立つ物件であること。これから東京が発展していく筋書において、その価値は上がりこそすれ、容易に下がるものではないと予測されている。
そのうえで、キーワードの1つ目となるのが「タワー」だ。ランドマークとして地方や海外からの投資も集まりやすいほか、スケールメリットによる公共設備やサービスの充実も強みとなる。
2つ目は「環境」。庭園や水辺など都心にありながら自然豊かで、かつ借景の存続が保証されている場所を見逃してはならない。
3つ目は「ビンテージ」。かつて海外からの大使館員や駐在員向けに開発されたホーマットやドムスなどのブランドは、築年数が経っても高い不動産価値を保持するケースが多い。高い値付けには、高いリセールバリューの担保があるというものなのだ。

1.TOWER
都心高級不動産の代名詞
都心でも最も不動産的価値の高いタワー型賃貸物件といえば、森ビルの住宅ブランド「MORI LIVING」によるレジデンスである。なかでも「六本木ヒルズレジデンス」は、職住近接型の生活を叶える街の魅力に加え、商業、文化施設などソフトコンテンツの充実も強みとなっている。また、ダイナミックな都市再開発の中心地である虎ノ門には、昨年「虎ノ門ヒルズレジデンス」が完成。ホテルサービスもあり、高い人気を集めている。

六本木ヒルズレジデンス
2003年に竣工した、六本木ヒルズの敷地内に立つ4棟のレジデンス。国際色豊かな文化が薫る街にあって、スパ&フィットネス、健康相談室など贅沢な付帯施設と、バイリンガル対応のきめ細やかなサービスを誇る。

虎ノ門ヒルズレジデンス
昨年オープンした新しい東京のランドマークタワーの、37〜46階という高層階に広がるラグジュリアスなレジデンス。
東京随一の眺望でも話題に。アンダーズ 東京 AO スパ アンド クラブを利用できる特典も。


2.ENVIRONMENT
都心の利便性と豊かな自然が両立する好環境
東京都心には、かつて旗本や華族の屋敷であった広大な敷地が、いまも公園や庭園になって存在している。そういった緑地に隣接して立つ「借景マンション」は、その好環境をほぼ恒久的に保証されていることから、高い不動産価値を保持する。空きが出れば即押さえるべき物件といえる。

有栖川宮記念公園
港区南麻布に広がる緑豊かな区立公園。
明治時代、有栖川宮の御用地であった由緒正しき歴史をもち、周囲は都内有数の高級邸宅街として知られる。

千鳥ヶ淵
かつて江戸城拡張の際につくられたお堀であり、桜の名所としても有名。皇居に隣接するウォーターフロントという絶好の条件は、恒久的な価値をもつ。


3.VINTAGE
歴史を刻み、価値を上げるビンテージ物件
1960年代後半から、都心の由緒ある敷地に次々と建てられた「ホーマット」「ドムス」といった外国人用高級マンションは、重厚感のある外装や日本庭園を備えた贅沢なランドスケープ、海外の邸宅を思わせる内装を備え、築年数が経ってなお、高い不動産価値のもとに取引されている。

ホーマット
1965年誕生。都心の一等地で、外交官や外資系役員向けの高級物件を手がけてきたマンションブランド。石灯籠のある日本庭園など、和テイストが特長。

ドムス
1970〜90年代、都心の高級住宅街でのみ展開された高級マンションブランド。
日本の住宅スタンダードをはるかに超えるスペックのもとに計画された。

この記事は 「Forbes JAPAN No.9 2015年4月号(2015/02/25発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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