これを受け、ニコラの株価は14.4%上昇し11.77ドルで取引を終えた。トラベルセンターズの株価は2.65%上昇し、25.98ドルとなった。両社は、カリフォルニア州にあるトラベルセンターの拠点に最初の2つのステーションを建設し、2023年の第1四半期までに稼動させるという。
これらの水素ステーションを活用して、航続距離が500マイル(約800キロ)以上とされるニコラの燃料電池トラック「Nikola TRE」が、ロサンゼルス周辺とセントラルバレー北部を走行することになる。
オハイオ州ウェストレイクに本社を置くトラベルセンターズは、米国最大のトラックストップ(物流ドライバー向けの休憩所)の運営元として知られている。
ニコラ社の株価は、1月下旬に28.58ドルを記録したが、その後、ゼネラルモーターズやリパブリック・サービシズとの提携の縮小や終了を受けて下落していた。ニコラは、SPAC(特別買収目的会社)との合併を通じて上場し、株価は一時93.99ドルまで上昇したが、直近では10ドル以下に下落していた。
しかし、今回、ニコラの株価を押しあげたのは、水素ステーションのニュースに加えて、同社の取締役のジェフリー・ウベンがCNBCに語った、「2021年の第4四半期までに、欧州でNikola Treの生産を開始するための準備が順調に進んでいる」との発言だ。ウベンはさらに、アリゾナ州の新工場での生産を2022年に開始すると話した。
ニコラのエネルギー・商業部門プレジデントのパブロ・コジナーは声明で、「当社は、業界トップクラスの燃料供給施設との提携により、燃料電池式大型トラックの成長を確実なものにする」と述べた。
ニコラは今月初め、商用車メーカーのイベコおよび天然ガス販売会社のOGEと提携し、ヨーロッパに水素パイプラインと燃料ステーションシステムを構築すると発表していた。
水素がCO2の増加につながる可能性も
ニコラとトラベルセンターズが設置する最初の2つの水素ステーションは、全てのトラックドライバーが利用可能で、全てのメーカーが製造する水素燃料トラックに対応する。トラベルセンターのCEOのJon Pertchikは、「当社は、輸送業界の水素を含む代替燃料へのシフトを加速させていく」と述べた。
しかし、批評家は水素燃料そのものはゼロエミッションだが、天然ガスや石油などから水素を製造する過程で、二酸化炭素を排出すると指摘している。さらに、電気でバッテリーを充電するほうが、水素で発電するよりも効率的だともされている。
ただし、将来的には、太陽光発電や風力発電による発電量が増え、二酸化炭素の排出量が減少する中で、水素のコスト競争力が高まる可能性もある。