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2021.04.23

ニコラが米国で水素ネットワーク構築へ、物流施設と提携で

Nikola Tre (c) Nikola

ニコラとロジスティクス関連企業の「トラベルセンターズ・オブ・アメリカ(TA)」は4月22日、米国全土に広がる大型トラック用の水素ステーションネットワークを共同開発すると発表した。

これを受け、ニコラの株価は14.4%上昇し11.77ドルで取引を終えた。トラベルセンターズの株価は2.65%上昇し、25.98ドルとなった。両社は、カリフォルニア州にあるトラベルセンターの拠点に最初の2つのステーションを建設し、2023年の第1四半期までに稼動させるという。

これらの水素ステーションを活用して、航続距離が500マイル(約800キロ)以上とされるニコラの燃料電池トラック「Nikola TRE」が、ロサンゼルス周辺とセントラルバレー北部を走行することになる。

オハイオ州ウェストレイクに本社を置くトラベルセンターズは、米国最大のトラックストップ(物流ドライバー向けの休憩所)の運営元として知られている。

ニコラ社の株価は、1月下旬に28.58ドルを記録したが、その後、ゼネラルモーターズやリパブリック・サービシズとの提携の縮小や終了を受けて下落していた。ニコラは、SPAC(特別買収目的会社)との合併を通じて上場し、株価は一時93.99ドルまで上昇したが、直近では10ドル以下に下落していた。

しかし、今回、ニコラの株価を押しあげたのは、水素ステーションのニュースに加えて、同社の取締役のジェフリー・ウベンがCNBCに語った、「2021年の第4四半期までに、欧州でNikola Treの生産を開始するための準備が順調に進んでいる」との発言だ。ウベンはさらに、アリゾナ州の新工場での生産を2022年に開始すると話した。

ニコラのエネルギー・商業部門プレジデントのパブロ・コジナーは声明で、「当社は、業界トップクラスの燃料供給施設との提携により、燃料電池式大型トラックの成長を確実なものにする」と述べた。

ニコラは今月初め、商用車メーカーのイベコおよび天然ガス販売会社のOGEと提携し、ヨーロッパに水素パイプラインと燃料ステーションシステムを構築すると発表していた。

水素がCO2の増加につながる可能性も


ニコラとトラベルセンターズが設置する最初の2つの水素ステーションは、全てのトラックドライバーが利用可能で、全てのメーカーが製造する水素燃料トラックに対応する。トラベルセンターのCEOのJon Pertchikは、「当社は、輸送業界の水素を含む代替燃料へのシフトを加速させていく」と述べた。

しかし、批評家は水素燃料そのものはゼロエミッションだが、天然ガスや石油などから水素を製造する過程で、二酸化炭素を排出すると指摘している。さらに、電気でバッテリーを充電するほうが、水素で発電するよりも効率的だともされている。

ただし、将来的には、太陽光発電や風力発電による発電量が増え、二酸化炭素の排出量が減少する中で、水素のコスト競争力が高まる可能性もある。

編集=上田裕資

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