ワイン投資もデジタル化が進む
ワイン界では過去数年で、新たな投資家を教え導くことを目的とした複数の投資アプリが導入され、ワインテックとデジタル革新に完璧な環境が整えられた。「北米では大まかに見ると、オルタナティブ(代替)投資の分野で多くのわくわくすることが起きている」とギアリング。
「この分野は今まで、オークション会社かスタートアップに属するものだった。しかし現在では、サイトや商品を中心としたイノベーションや関心が高まっていることから、北米の人はより楽に代替資産に触れ、投資を行えるようになっている。ワインもこの傾向に従うのは自然な成り行きだ」(ギアリング)
コロナ禍では、高級ワインへの投資が特に魅力的なものとなった。投資家はワインへの投資によって従来のポートフォリオを多様化させることができ、株式との相関関係は低くなる。
とはいえ、高級ワイン投資にも独自の障壁がある。仲介手数料やオークション企業への認証手数料、温度制御セラーのコスト、再販市場をうまく切り抜けるため必要となる深いワインの知識と財源などだ。
カルト・ワインズは、投資家らが高級ワイン投資に特有の領域にうまく対処できるよう支援し、こうした障壁を取り除くことを目指している。
ここ数年の間に複数のアプリやカルト・ワインズのような企業など新たな手段が提供され、セラーを作る資金がない人や投資対象となるワインを見分ける知識がない人でも投資の世界に参入できるようになっている。
「商品の視点では、今までよりも技術関連のイノベーションが増えている。市場の視点から見れば、世界の投資家の意欲が顕著に広がっていて、投資対象となるワイン市場も拡大している」とギアリング。
「10年前であれば、おそらくこの市場は英国と欧州の投資家が支配的で、ボルドーが大きく注目されていた。現在は、従来の市場や北米のような新興ワイン投資市場とともにアジアが大きな役割を果たしている。ここでの焦点はいっそう多様化し、さまざまな高級ワインが収集家や投資家に支持されている」
ギアリングは「こうした要素から、このトレンドを活用し資産としてのワインへの認識を高めるため、ニューヨークとトロントにオフィスを構えるのに適した時期だと感じられる環境が生まれている」と説明した。