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米国では50州すべてで、製薬大手ファイザーが開発した新型コロナワクチンの接種対象が16歳以上に拡大された。多くの州では、新規感染者と入院者の数がどちらも大幅に減少する傾向にある。

ワクチンの接種を呼び掛ける複数のキャンペーンが行われていること、大規模な接種会場が増設されていること、高リスクのグループへの対応が広がっていることなどにより、米国では集団免疫が獲得されつつあることをうかがわせる、ごく初期の兆候が見え始めたと言えそうだ。

だが、その一方でファイザーのアルバート・ブーラ最高経営責任者(CEO)は、新型コロナウイルスのワクチンは2度目の接種から12カ月後までの間に、「3回目」の接種が必要になる可能性が高いとの見方を示している。

CEOのこの見解は、日常生活の「正常化」への道のりにおける新たな問題のように思えるものかもしれない。だが、実際にはこれは、驚くことでも、挫折でもない。

ウイルスの変異に対応


新型コロナウイルス「SARS-CoV-2」は、猛烈なスピーで変異を続けている。一度感染した人が再び感染し、最初の感染によってできた抗体が永続的なものにならない理由の一つはそこにある。

感染して回復した人の大半は、かかった株に似ている変異株に対しては3カ月程度、抗体を保有するとみられる。だが、感染した時点でまだ存在していなかった変異株に対しては、抗体を持たない。

コロナウイルスの変異株は、ウイルスが感染を拡大させやすい環境、つまりワクチンを接種していない集団において、より出現しやすくなる。そして、より多くの人へのワクチン接種を続ける間も、変異株は生まれ続ける。ワクチンがより多くの人に接種されていく中で、変異株の出現のスピードがいくらか鈍化することを期待したい。

抗体は1年もたない?


いずれもメッセンジャーRNA(mRNA)テクノロジーを使用するファイザーと米モデルナのワクチン(どちらも2回の接種が必要)は、英国型(B.1.1.7)と南アフリカ型(B.1.351)の変異株に有効であることが確認されている。

だが、これまでに集められたデータによれば、ワクチン接種によって得られた抗体は少なくとも6カ月間は存在しているものの、2回目の接種から12カ月が経過するまでに、一定程度が失われると推測される。

2020年半ばに行われた当初の臨床試験では、当時は存在していなかった変異株への有効性が確認されていない。そのためファイザーとモデルナは数カ月前から、変異株のスパイクタンパク質に対応できる抗体の形成を促すワクチンの開発を進めている。両社がどちらも「3回目」の接種が必要になるとするのは、当然のことだ。

「ブースター(追加免疫)」のために必要となるワクチンは、今年後半から2022年初めには、接種開始が可能性になると見込まれている。

年一度の接種が必要に


ワクチン開発の初期段階においても、新型コロナウイルスのワクチンが、はしかやポリオ、おたふく風邪、天然痘などのワクチンのように、一度接種すれば生涯にわたる免疫を獲得できるものになるとは考えられていなかった。

インフルエンザのワクチンは、毎年一度の接種が必要だ。接種によって、命が救われている。そして、インフルエンザ・ワクチンは毎年、非常にわずかではあっても、ウイルスの変化に応じて、前年とは違うものに変えられている。

新型コロナウイルスも、インフルエンザと同じ対応が必要になるということだ。毎年の接種は面倒なことだろう。だが、パンデミックに打ち勝つためには、必要なことだ。

編集=木内涼子

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