時代遅れの米インフラ、バイデンが目指す歴史的改革

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計画は、エネルギーをめぐる考え方の変化についての時代遅れの通念を打ち消し、変化は可能であるだけでなく、必要不可欠なものだというメッセージを発するものだ。EVは、かなり前から存在していた解決策であり、充電施設が十分整っていれば長距離移動にも広く利用可能だ。

また、発電インフラの現代化は、天候が変化しても供給を途切れさせない形で実現可能だ。再生可能エネルギー反対派は、テキサス州が寒波に見舞われた際の停電について、再生可能エネルギーが原因だったという偽りの主張を展開したが、これは再生可能エネルギーとは何の関係もないことで、他の州でも同じ状況が起きる可能性がある。

米国は、気候変動の懸念が生じる前の時代に建設されたインフラの全面刷新を切実に必要としている。バイデン政権が打ち出した野心的な大改革のための資金は、トランプ前大統領が2017年に35%から21%に引き下げた法人税を28%まで引き上げることでまかなう計画だ。法人税の引き上げは、納税状況を批判されることが多いアマゾン・ドット・コムも支持している。さらに相続税も引き上げられるほか、国債も増加する。国債は多くの人が懸念しているが、問題は国債の規模ではなく、国債と引き換えに何が得られるかだ。

米国で生じているのは、長期的な解決法ではなく手っ取り早い道を選んだことによる「技術的負債」であり、ここ数十年の大きな変化に対応していないインフラが多額のコストを生んでいる。計画はまだ議会の承認を得ておらず、これには一定数の共和党議員だけでなく、多くの懐疑的な民主党議員も説得が必要であり、これは一筋縄ではいかないだろう。

しかし、今の米大統領は優先事項を理解していて、天気と気候を取り違えるような非学者ではなく、問題に立ち向かう準備ができている。米環境保護局(EPA)のマイケル・リーガン長官が言ったように、「科学が戻ってきた」のだ。同時に、常識も戻ってくることを願いたい。

編集=遠藤宗生

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