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ものづくり集団とリーンな発想


マクラーレンは、そのグループにMCTC「マクラーレン・コンポジット・テクノロジー・センター」という組織を持つ。カーボンファイバーなどの新素材の開発と活用を担う部門だ。新しいアルトゥーラにも惜しみなく専用設計が投じられている。また、独特の美しいボディフォルム、派手さではなくシンプルで使いやすいハンドルや計器類のデザイン、正本は、その職人気質が日本人に合うという。

「機能性や使い勝手を徹底的にこだわり生まれる機能美は日本人の琴線に響くと思っています。最高のものを最高の技術で作るというポリシーが合っているのです」

それがマクラーレン・オートモーティブの業績にも反映されているのだろう。ただ、業績は「今までの」マクラーレンへの評価でもある。ラインナップの主力であり、PHEVという別物になった新しい車種への評価はこれからだ。この電動化はどういう形で受け入れられるのだろうか。

正面からみたアルトゥラー
後ろから見たアルトゥーラ

「今回の新しいアルトゥーラは、単なるハイブリッドではありません。マクラーレンが作るとこうなるという、技術革新もともなった『新しいバリュー』です。培ってきたクルマづくりに次のリクアイアメント(望まれるもの)が生まれ、積極的に別の形で提供することができた良い例です。これは、マクラーレンの企業姿勢が生んでおり、このことは、企業を牽引するようなリーダー層にも響くのではないかと思っています」

マクラーレンは他のクルマメーカーよりも、圧倒的に小規模で、レーシングコンストラクターという出自からものづくり企業の特色が濃い。

「1台のクルマを生み出すためにかかる期間とコスト、これを小規模の会社で実現するためには、発想の柔軟性、リーンな開発体制、そして意思決定の速さが求められます。レースの世界では投入したマシンがダメなら1年待つわけにはいかない。すぐ改良し、再投入しないと勝てない。この経験は、他に秀でたスピード感につながっています。もちろん失敗もします。するけどもすぐにキャッチアップして活かすというのは、まるでスタートアップ企業のスピード感のようです」

マクラーレンの販売台数はすでに世界で年間5000台を超えるが、現在の体制になった7、8年前からのこの成長は、高級車市場ではありえない速さだという。

「技術力、ポリシー、そしてスピード感。これらがすべてうまく組み合わさって送り出される1台のクルマ。それを一流の方々に評価いただいて、販売台数が伸びている現実。これはクルマ業界ではとても稀有な『ビジネスモデル』といえるものだと感じています」

この企業姿勢であれば、マクラーレンの掲げるハイブリッド化計画「Track25」は達成されるだろうし、およそ次の10年も視野に入れた取り組みを行なっているかもしれない。高級車市場におけるマクラーレンの次の一手に注目したい。

クルマと正本社長

文=Forbes JAPAN 編集部 写真=西川節子(人物)

マクラーレン

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