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米誌アトランティックの「ズーム法廷で変わる裁判」という記事を読んだ。米国では新型コロナのパンデミック(世界的大流行)対策で敷かれたロックダウン(都市封鎖)を機に、司法の場でもズームをはじめとするビデオ会議システムの活用が広がり、その結果、審理の数が増えるなど大きな変化が生まれていると報告するものだ。この優れた記事によれば、判事や検事、弁護士といった関係者からは、パンデミック後もこうした裁判のやり方をそのまま続け、適切な場合はすべての審理にビデオ会議を導入すべきだという声が多く上がっているそうだ。

今回のパンデミックが引き起こした混乱への適応でも、この種の変化につきものの問題や反動が起きているのも確かだ。いまや伝説的な存在だが、ある弁護士はズームを通じて裁判に参加した際、猫のフィルターが外せず、「猫弁護士」として会話するはめになった。また、専門家のなかには、ドメスティックバイオレンス(DV)の裁判などでは被害者が証言時にカメラに写らないところで圧力を受けるおそれがあるとして、ビデオ会議の使用に反対する人もいる。

だが、判事や検事、弁護士の大多数は、1年におよぶオンライン裁判の経験を経て、裁判所に足を運ばなくても、カメラを通じてどこからでも裁判に参加できるようにすれば、審理のスピードを上げられることに気づいた。また、こうすれば司法を効率化でき、公判待ちになっている訴訟の山を減らせるとも考えている。

当初はテクノロジーに不慣れなためわずらわしかったオンライン裁判は、ほどなくして審理の迅速化や簡素化、裁判開始までの時間の短縮につながり、以前よりも早く裁きを下せるようになったというわけだ。なかにはデジタル格差のためにコンピューターを利用できない被告らもいるだろうが、ビデオ会議という新しいテクノロジーの活用にメリットがあることには議論の余地がない。わたしたちはもう以前の状態には戻れず、裁判でのビデオ会議ツールの利用に反対する人は取り残される運命にある。

わたしたちにとってこの変化は強いられたものだったかもしれないが、ビデオ会議は明らかに利点がある以上、パンデミック後も定着するはずだ。パンデミックという「不可抗力」がなければ、こうした変化はたとえあったとしても、ずっと時間がかかっていただろう。パンデミックはデジタルトランスフォーメーション(DX)のようなプロセスを進化させるには絶好のチャンスだということを、社会はよく理解すべきだ。ビデオ会議の導入による裁判の円滑化のような事例が今後、多くの分野に広がることを期待したい。

編集=江戸伸禎

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