イェール大学(コネティカット州)は19日、秋にキャンパスで授業を受けるすべての学部生と大学院生を対象に、新型コロナワクチンの接種を必須とすると通知した。教職員にも義務づけるか専門家グループが検討しているといい、6月中に最終判断する方針だ。ピーター・サロヴェイ学長とスコット・ストロベル学務長は「新型コロナの感染状況がこの先どうなるかは予断を許さないが、ワクチンはウイルスの伝染を予防する最強のツールだ」と強調している。
同日にはコロンビア大学(ニューヨーク州)もワクチン接種を義務づけると明らかにした。原則として秋以降キャンパスに来るすべての学生が対象となるが、宗教的あるいは医学上の理由による免除も認めている。またプリンストン大学(ニュージャージー州)も20日、学生と院生を対象に接種義務化を発表した。これにより、アイヴィーリーグと呼ばれる米北東部の名門私立大学8校のうち半数超が接種を義務づけることになった。
ワクチン接種の義務づけは法的あるいは公衆衛生上難しい問題をいくつか提起しているが、ここ2週間ほどの間に導入を決める大学が目立って増えている。背景には2つの要因がありそうだ。
一つは、大学側がこうした義務を課す権限については、議論の余地はあるものの判例では支持されていると考えられること。もう一つは、学生側もおおむね義務化に賛成しているとみられることだ。教育機関向けの調査やコンサルティングを手がけるマグワイア・アソシエーツの最近の調査によれば、ワクチン接種の義務に従うと答えた大学入学予定者は全体の85%に達した。
大学によるワクチン接種義務づけの判断の裏には、政治の影も見え隠れする。これまでに義務づけを決めた大学のほとんどは私立大学で、公立大学は慎重姿勢を保っている。強硬な公衆衛生措置については個人の自由を侵害するものだとして反対する知事や議員もおり、地元でそうした反発に遭うことを懸念しているもようだ。