「ビリギャル」著者と森ビル元CFOが薦める『本嫌いな子』への処方箋

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坪田:子どもだけでなく、親御さんにも愛読書を見つけてほしいですよね。今までプラトンやアリストテレス、カントを読んだことがある人はすごく少ないじゃないですか。そういった世界的な名著を、まさに現代の知の巨人である堀内さんが『読書大全』でピックアップしてくださっていますから、「あ。これだったらちょっと私も読めるかも」という一冊を読んでほしい。

子どもが本を読まないと嘆く家庭は、その親御さんが本をあまり読んでいません。親が楽しそうに読書する家庭環境では、大抵の子どもは家でも本を読むようになります。

堀内:全く同感です。オーストラリアの研究によると、「家に本がある家庭に育った子どもは、大人になってからのリテラシーレベルが高くなる」そうです(編集部注:オーストラリア国立大学のジョアンナ・シコーラ博士による2018年の研究によれば、世界31カ国16万人を対象にした「16歳のときに家に何冊本があったか」を聞くアンケートにより、家に80冊以上本がある家で育つと、成人してからの計算力、読み書き、技術的能力にプラスの影響がある」ことが明らかになっている)。自分がやりもしないことを、子どもに強制してはいけませんね。それに、とってつけたように強制したとしても、どうせ子どもは言うことを聞きませんし。

坪田:「自分が勉強してこなかったから、本を読んでこなかったから、あなたは勉強しなさい、本を読みなさい」というのは、「このゲームはクソゲーだけどあなたはやりなさい」と言っているのと同じ。自分自身が愛情を持てる本を見つけて、我が子にすすめていただきたいです。読書は子どもに素敵で大きな刺激を与えますし、人生を変えるもの。大人も今からでも愛読書を見つけるのがいいですよね。そして、その本がどうして良いのかという理由を、子どもに熱をこめて伝えてほしいと思います。


堀内勉◎多摩大学社会的投資研究所教授・副所長。東京大学法学部卒業、ハーバード大学法律大学院修士課程修了。日本興業銀行(現みずほ銀行)、興銀証券(現みずほ証券)、ゴールドマン・サックス証券を経て、2005年森ビル・インベストメントマネジメント社長に就任。2007年から2015年まで森ビル取締役専務執行役員兼最高財務責任者(CFO)。現在は、ボルテックス100年企業戦略研究所所長、社会変革推進財団評議員、川村文化芸術振興財団理事、麻布学園評議員、軽井沢ソーシャルデザイン研究所理事、経済同友会幹事、書評サイト「HONZ」レビュアーなどを務める傍ら、資本主義の研究をライフワークとして、多様な分野の学者やビジネスマンと「資本主義研究会」を主催している。著書に『コーポレートファイナンス実践講座』(中央経済社)、『ファイナンスの哲学』(ダイヤモンド社)、『資本主義はどこに向かうのか』(編著、日本評論社)。

坪田信貴◎累計120万部突破の書籍『学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話』(通称ビリギャル)や累計10万部突破の書籍『人間は9タイプ』の著者。これまでに1300人以上の子どもたちを個別指導し、心理学を駆使した学習法により、多くの生徒の偏差値を短期間で急激に上げることで定評がある。大企業の人材育成コンサルタント等もつとめ、起業家・経営者としての顔も持つ。テレビ・ラジオ等でも活躍中。近著に『吉本興業の約束 エンタメの未来戦略』(共著、文春新書)がある。

構成=上沼祐樹 編集=石井節子

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