元グーグル社員が設立のAIチップ企業「Groq」が320億円を調達

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1秒間に1000兆回の処理


機械学習や自動運転車といった複雑なアプリケーションでは、より強力な処理能力と速いスピードが求められる。「機械学習は、確率論的だ。あることが起きそうだと、こうした方が良いとか、別のことが起きそうなら、違うことをした方が良いといった対応をすることは、マシーンにはとても難しい。確率論の場合、考えられる全てケースを計算し、それぞれに少しずつ重みを付けなければならないが、これを行うにはコストが飛躍的に増大する」とRossは話す。

Rossらは、Groqを設立して間もない頃に、著名ベンチャーキャピタリストのチャマス・パリハピティヤ(Chamath Palihapitiya)から資金を調達した。パリハピティヤは、2017年にCNBCに対し、投資家向けの業績発表で初めてグーグルのチップについて知ったと述べている。その後、GroqはAIチップの研究を終え、米国の工場で生産した製品を市場に投入した。「私がGroqに魅力を感じたのは、同社のアーキテクチャが他と大きく異なる点だ。同社は、既存製品では対処できない問題について熟考し、これまでと大きく異なるアーキテクチャを開発した」とRappaportは述べている。

Rossは、最近行ったビデオ会話で新型チップのデザインを披露した。外見はとてもシンプルだが、1秒間に1000兆回の処理を行うことが可能だ。Groqのチップは、数百のプログラム可能な小型コアで構成されるのではなく、1つの巨大なプロセッサと数百の機能ユニットから成る。

Rossによると、顧客には金融サービスや自動運転の大手企業が含まれるという。通常、半導体メーカーは特定の業界向けに製品を最適化させる必要があるため、これら2つの業界に顧客を持つことは珍しいという。

「まだGPUやCPUが導入されていない有望な市場がある」とRossは言い、今回調達した資金を使って、新しいマーケットを開拓する予定だという。また、年内に従業員数を現在の122名から250名に増やす計画だという。

「本当は、ビジネスについてなるべく語りたくないが、優秀な人員を採用するためには話す必要がある。2000人の応募者の中から28名を採用したいと思ったら、多くの人に応募してもらわなければならない。その必要がなければ、口を閉ざしていたいのが本音だ」とRossは語った。

編集=上田裕資

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