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2021.05.02

仏の医療保険スタートアップAlanが240億円調達しユニコーン化

AlanのJean-Charles Samuelian-Werve CEO(左)とCharles Gorintin CTO(右)(C) VINCIANE LEBRUN / VOYEZ-VOUS

フランスのヘルスケアのスタートアップ「Alan」は4月19日、1億8500万ユーロ(約240億円)のシリーズD資金を調達したことをアナウンスした。同社の評価額は14億ユーロとされ、ユニコーンの仲間入りを果たした。今回のラウンドはCoatueが主導し、DragoneerやExorに加えて、既存出資元のIndex VenturesやRibbit Capital、Temasekらも参加した。

Alanは、オンラインで簡単に手続きが可能な医療保険を提供する企業で、会員はさまざまな種類の健康関連コンテンツにアクセスすることが可能だ。さらに、マップで医師を見つけて予約したり、医師や他の患者とチャットなどを行うことなどが可能になっている。

同社はJean-Charles Samuelian-WerveとCharles Gorintinらが共同で設立した。

AlanのCEOを務めるSamuelian-Werveは、「医療分野は長年、産業化が進んだ結果、非人間的で非個人的なものとなってしまっている。私たちはこの状況を変えようと思った」と述べた。

Alanの顧客の約85%は企業であり、残りの15%は自営業者だ。同社は現在、9000社の企業と16万人の個人を顧客としている。もともとはフランスでスタートしたAlanは、半年前にはスペインとベルギーにも進出した。黒字化は果たせていないが、年間売上は先日、1億ユーロを突破した。

Samuelian-Werveは、Alanを立ち上げる前に、軽飛行機のシートを製造するExpliseatという別の会社を立ち上げ、成功を収めていた。しかし、祖父が亡くなった後に同社の株式を売却し、ヘルスケアに専念したいと考えた。そして、大学時代の友人でツイッターやフェイスブック、インスタグラムで働いていたGorintinとチームを組み、フランスに帰国する前のひと夏、Gorintinのサンフランシスコのアパートでアイデアを練ったという。

2人は2016年の2月に会社を設立し、10月には保険のライセンスを取得し、同年11月に事業を開始した。

Alanという企業名は、数学者でコンピューター科学者のアラン・チューリングと、哲学者のアラン・ワッツという2人の英国人の名前にちなんだものだ。パリに本社を置く同社は、現在350名の従業員を抱え、累計資金調達額はこれで3億1000万ユーロに達した。

AlanにシリーズAから投資し、今回のラウンドにも参加したIndex VenturesのパートナーであるJan Hammerによると、Alanの最終的なゴールは、パーソナライズされたデジタルプラットフォームを通じて、医療提供者と患者をつなぐことだという。

「彼らは、患者たちが自分自身で健康管理を行えるように、カスタマイズされた個別のソリューションを提供している」とHammerは話す。「健康記録のデジタル化を行う企業は他にもあるが、Alanは個人ごとに最適化されたソリューションを提供している」と彼は続けた。

編集=上田裕資

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