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2021.04.25

アップルが参入する「有料ポッドキャスト」業界の勢力地図

アップルのティム・クックCEO(Getty Images)

アップルのティム・クックCEOは4月20日、ポッドキャストの配信者がリスナーたちに課金を行えるプラットフォームの「Apple Podcasters Program」を5月から始動すると宣言した。この動きは、かつてポッドキャスティング分野で圧倒的な強さを誇ったアップルが、競争の激化に直面した結果だ。

アップルは、ポッドキャストを聴くためのプラットフォームとして長い間トップに君臨してきたが、スポティファイにその地位を奪われつつある。

スポティファイは、ビル・シモンズが運営するスポーツ関連のポッドキャスト「ザ・リンガー」や、ポッドキャスト広告を手がけるアドテクノロジー企業の「メガフォン」にそれぞれ2億ドル以上を投資するなど、この分野に莫大な資金を注いでいる。さらに常にチャートの上位に入る「The Joe Rogan Experience」とも巨額のライセンス契約を結び、独占配信を行っている。

調査会社eMarketer社は、今年中にポッドキャストの視聴者数でスポティファイがアップルを追い抜くと予測している。

他のテック界の大手も、ポッドキャストのサービスを拡充している。昨年、SiriusXMに3億2500万ドルで買収されたStitcherは、独占番組や広告なしで聴けるプレミアムコンテンツを提供している。アマゾンもポッドキャストスタジオWonderyを3億ドルで買収し、限定コンテンツを提供している。

アップルは、これまでポッドキャストのマネタイズを行ってこなかったが、有料ニュースレターを発行するSubstackを参考に、サブスクリプションモデルを導入する。ポッドキャストの配信者は従来、収益のほとんどを広告で得ていたが、その状況も変わり始めている。フォロワーが少ない配信者は、広告ではなくSubstackやPatreonが提供する課金の仕組みを利用している。

アップルはサブスクリプション形式でポッドキャストを配信したいクリエイターたちに、年額19.99ドルのApple Podcasters Programを提供し、視聴回数の把握やアクセス解析を可能にする。5月の立ち上げ当初に参加するメディア企業には、NPRやLos Angeles Times、The Athleticなどが予定されている。

編集=上田裕資

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