サフーが興したスタートアップ企業「ワンアップヘルス(1upHealth)」の狙いは、そうした慣行に終止符を打ち、医療データをクラウドで流通させるインフラを構築することにある。ボストンを拠点とする同社は4月14日、シリーズB資金調達により2500万ドルを獲得したと発表した。同社はこの資金をもとに、保険会社のあいだで足場を広げようとしている。
それが実現すれば、同社はより多くの患者に対して、臨床データと保険金請求記録の組み合わせを提供できるようになる。治療体制を改善するためには、それが必要だと同社のCEOを務めるサフーは言う。「このふたつを結びつければ、質とコストの改善が確実に促進される」
患者にとって、実際のところ何を意味するかを説明しよう。患者が転職する際には、新しい健康保険プランへ移行するために、毎回果てしない手続きが生じることもめずらしくない。書類に必要事項を記入し、病歴を何度も反復し、医師との関係をまた一から築きあげる――それもこれも、ライバルどうしの保険会社のあいだでデータを移動できないせいだ。
ワンアップヘルスにより、患者の医療データが「自由化されることで、治療の途上で、どこへでも必要な場所へ行けるようになる」と、今回のシリーズB資金調達を主導したF-プライムキャピタル(F-Prime Capital)のパートナー、カール・バイヤーズ(Carl Byers)は述べている。
今回の資金調達には、ジャクソン・スクエア・ベンチャーズ(Jackson Square Ventures)、エニアック・ベンチャーズ(Eniac Ventures)、ソーシャル・レバレッジ(Social Leverage)といった前回の出資者も引き続き参加した。こうした出資者はこれまでに3540万ドルを調達したワンアップヘルスに対して、クラウド・データウェアハウスのスノーフレーク(Snowflake)が医療業界にもたらしたような創造的破壊を期待している。スノーフレークは、ソフトウェア会社としては史上最大規模の新規株式公開(IPO)により34億ドルを調達し、現在の時価総額はおよそ680億ドルとなっている。