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2021.04.21

米ファッション・サブスクが事業方針を転換、従来型Eコマース重視へ

(c) Stich Fix

2011年に創業した米スティッチ・フィックスは、AI(人工知能)を活用したパーソナル・スタイリング機能とスタイリストのアイデアで選んだファッション・アイテムを顧客の自宅に届けるサブスクリプション・ボックスで人気を集めてきた。

そのスティッチ・フィックスの創業者、カトリーナ・レイク(38)が先ごろ、最高経営責任者(CEO)を退任する意向を明らかにした。コンサルティング会社ベイン&カンパニーに20年間務め、昨年1月に同社のプレジデントに就任したエリザベス・スポールディングが、新たなCEOに就任するという。

レイクのこの意外な決断について、「なぜ創業からわずか10年で?」との疑問を持つ人は多い。だが、レイク自身が退任の理由について多くを語らない中、後任のスポールディングはすでに、同社のプレイブックを大幅に書き変えつつある。

トップの交代が意味するのは、スティッチ・フィックスがこれまでの「サブスクリプション・ボックス戦略」から離れ、より「従来型」に近いオンライン小売事業に舵を切ることだとされている。

2017年に上場した同社は、2020年には売上高をほぼ2倍の17億ドル(約1840億円)に増やした。だが、今後より幅広い消費者にアピールする力には懐疑的な見方が強まっており、同社の株価は昨年末以降、乱高下が続いている。スポールディングも3月に行った決算説明会で、サブスクリプション・ボックスがそれほど多くの人にとって魅力的なものではないことを認めている。

その新CEOが目指すのは、パーソナル・スタイリングに大きな強みを持つスティッチ・フィックスを、その他のオンライン小売業者の位置づけに近づけることだ。

つまり、顧客アンケートを通じて収集したデータポイントと購入履歴に基づき、商品のキュレーションを行うことができる同社の強みに加え、従来のe-コマースの特徴を併せ持つ企業にすることにより、年間売上高およそ4000億ドルの米国の衣料品・フットウェア業界において、他者とは一線を画す存在となることを目指すという。
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編集=木内涼子

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