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2021.04.28

コインベース上場はフェイスブック上場時に似ている


途中で社名を変えたという点でも、この2つの企業は似ています。Facebookは、最初は「Facemash」という名前でしたが、そこから「TheFacebook」へ変わり、最終的にはシンプルに「Facebook」に落ち着きました。Coinbaseも元は「Bitbank」でしたが、創業者のBrian Armstrong氏の判断でYCのデモデイに合わせて現在の「Coinbase」に変えられました。

もう1つの興味深い共通点として、どちらもAndreessen Horowitz(a16z)から出資を受け、同ファームに巨額の利益をもたらしていることが挙げられます。

a16zは早い段階でのFacebookへの投資で成功し、その勢いでファームの事業拡大を実現しています。最近では、2019年の9月ごろ、a16zの近年の投資リターンがその高い評価に見合っていないとメディアで報道されていましたが、今回のCoinbaseの上場によりそれらの批判が時期尚早であったことが証明されました。

a16zが保有するCoinbaseの株式の価値は100億ドル(約10兆円)にまで上昇し、これは同ファームの12年間の歴史におけるファンド組成額の累計の50%以上に相当します。ベンチャーは長期にわたる積み重ねを経てハイリターンを得るビジネスであり、忍耐力が何よりも大切であることを改めて物語っています。

仮想通貨が主流へと成長する中、Coinbaseはおそらく業界内で最もその恩恵を受けやすいポジションにあります。市場におけるマインドシェアや信用力、インフラ整備などで明らかに群を抜いているのです。

一方で、仮想通貨の成功は「諸刃の剣」にもなり得ます。仮想通貨の信奉者たちが予想するように、仮想通貨によって金融市場が今後大きく侵食されることになれば、そうした「分散的」通貨を管理するための何らかの「集権的」な取引所は、本当に必要であり続けるでしょうか? Coinbaseは仮想通貨を主流へ押し上げ、急速に普及させるかもしれませんが、いずれは自らの成功の犠牲者となるのかもしれません。

連載:VCのインサイト
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文=James Riney

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