史上初「地球外での動力飛行」に成功したNASAの火星ヘリの偉業

「人類史上初の地球外での動力飛行」に成功した小型ドローン(C)NASA

NASA(米航空宇宙局)は4月19日早朝、「インジェニュイティ(Ingenuity)」と呼ばれるドローンを火星の上空で飛行させ、「人類史上初の地球外での動力飛行」に成功した。

この重さが2kgに満たない小型のドローンは、毎分2500回転で逆回転ブレードを回転させながら、火星の上空約3メートルを飛行した。飛行時間は約30秒と想定されていたが、詳細な飛行プロファイルはまだ公開されていない。しかし、飛行が成功したことで、ミッションコントロールで見守るチームは熱狂した。

「人類はついに、地球以外の惑星でローバークラフトを飛行させることに成功した」と、NASAジェット推進研究所(JPL)の主任エンジニアのミミ・アウン(MiMi Aung)は述べた。

インジェニュイティは、2月に火星に着陸したローバー「Perseverance」によって火星表面に運ばれた。開発・運用に8500万ドル(約93億円)が注がれたこのドローンは当初、先週には飛行を開始する予定だった。しかし、小さな技術的問題が発生したため、飛行は延期されていた。

この機体は、地球外での飛行が可能であることを証明するための技術的デモンストレーションのために開発されたもので、将来的には、このような小型ドローンが火星への有人ミッションに使用され、地上のクルーに貴重な偵察データを提供することになる。

インジェニュイティは現在、火星での30日間のテストの途上にあり、今回の飛行を含めて最大5回の飛行を行う予定だ。今回の飛行は短く、高度も低いものだったが、今後のフライトは高さや距離が数百メートルに達する可能性があり、探査機Perseveranceがフライトの様子を撮影して地球に送信し、インジェニュイティも搭載したカメラで上空から撮影を行う。

19日のフライトは小規模なものだったが、1903年にライト兄弟がライト・フライヤー号の飛行を成功させてから100年強で、人類はついに火星での動力飛行を成功させた。インジェニュイティの飛行は世界の注目を集めており、この小さなドローンが今後何を撮影するかを、人類は注意深く見守ることになる。

編集=上田裕資

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