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今年は屋台の曳き揃えやからくり奉納、夜祭りは中止に。屋台蔵での公開のみとなった

先日、ひさしぶりに岐阜県高山市にお邪魔した。2年ぶりに開催された春の高山祭「山王祭」を観たいと思ったからだ。本来ならば、昨年の4月に出かける予定だったのだが、コロナ禍の影響で、第二次世界大戦中の1945年以来、75年ぶりに祭りが中止になっていた。

そこで宿泊予定であった旅館の女将とも相談して、「きっと来年なら大丈夫」との想いで1年延期にしたのだった。普段ならば高山祭の日は、国内外から多数の観光客で溢れ、宿泊予約も1年前でないと希望の旅館はとれなかった。私自身も昨年の春の祭りに向けての予約は、一昨年に女将にお願いしていた。

ところが、3月早々、昨年の中止に続き、今年の祭りも規模縮小が発表された。屋台の曳き揃えやからくり奉納、夜祭りなどの一切が中止で、屋台蔵での公開のみ。神事や御巡幸などの祭り行列も、例年の約400人から約30人に限定し、距離も短縮となった。

掲げられたテーマは「令和3年 静かな春祭り KAMISHIMO DISTANCE」。祭りで着るかみしもとソーシャルディスタンス(社会的距離)を重ねた新しい生活様式に基づく高山祭をめざすとのことだった。

それでも、私は出かけようと思っていた。女将にそれを告げると「本当に来ていただけるの?」との言葉が返って来た。その言葉からは、沢山のキャンセルがあったことも容易に想像できた。

だからこそ、私は絶対行こうと決めた。縮小されているといっても、祭りは祭り。逆に静かな高山祭を味わいつつ、たとえほんの少しであっても、現地に何らかのお金を落とすのが、いま私ができる地域へのささやかな応援だと思った。

何より「寂しさ」を感じた高山の町


高山駅に降り立った4月14日は、花冷えと言うより冬のような寒さだった。そのせいか、祭りの日にもかかわらず、駅前は静謐としていた。ガラガラだった列車を降り、改札を抜け、旅館からの迎えの車に乗った。開口一番、運転手さんから「いや、もうほんと参りますわ。でもそんななか、ようお越しくださいました」と感謝の言葉を聞く。

「ほんと参ります」という言葉にすべてが集約されていた。インバウンドの増加をめざして新しく駅前に開業したおしゃれなホテルも閑寂としている。通りを歩く人影もまばらだ。なにより、祭りの日特有の、ワクワクするような地元の人たちの活気が感じられない。

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人影もまばらな高山の町並み

そういえば、高山に来るのは昨年の8月以来だ。そのときのことは、以前このコラムでも書いたが、Go Toキャンペーンが開始されて初めての休日だったこともあり、今日のような雨模様だったが、カップルや友だち同士、家族連れなど、比較的少人数のグループの観光客が古い街並を楽しそうにそぞろ歩いていた。

文・写真=古田菜穂子

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