英国はワクチンと全世帯検査で「脱コロナ」へ、従うべき一例に

Photo by Chris McGrath/Getty Images

米国のメディアが伝えるニュースからはこのところ、新型コロナウイルスのワクチン接種が異例の速さで進んでいることによる安心感とともに、「コロナ後」の世界に対する期待感の高まりがうかがえる。一方では、新たに出現する変異株の影響への懸念を示す報道もある。

そうした中で、私たちがパンデミック前の生活に戻るために「本当に必要」なもの、つまり「検査」については、ほとんど伝えられていない。

社会経済活動をすでに再開させた各国(オーストラリア、中国、ニュージーランド、台湾など)がそうすることに成功したのは、ワクチン接種に加えて検査、そして(接触者の)追跡と隔離を組み合わせて行ってきたためだ。

これら各国は、行動規制を緩和した後に再び感染者が増加しても、それを制御することができた。十分な検査を行うためのインフラの構築に失敗した米国などの国とは、まったく対照的だ。

英国では4月初めから、新型コロナウイルス感染の症状がないすべての人が少なくとも週に2回、定期的に、無料で「迅速抗原検査(ラテラルフロー検査、イムノクロマト法検査とも呼ばれる)」を受けられるようになった。

新型コロナウイルスは、感染者の3人に1人が無症状だとされ、多くの人が感染に気付くことさえないまま、ウイルスのまん延を助長している。英国のこの新たなプログラムもまた、社会経済活動の再開に向けた道を開くものとなるだろう。

「感染の連鎖」断ち切る手段


英国ではこの新たな取り組みにより、すべての国民が自宅や職場で、公共施設や薬局などで、検査を受けられるようになった。これが意味するのは、国内にいるすべての人が、自分が安全に仕事や学校に行き、友人たちとの会食に参加できるのかどうか、あるいは大切な人たちを感染から守るために自宅にとどまる必要があるのかどうか、自ら判断できるようになるということだ。

英政府が指摘しているとおり、ワクチン接種に加えてこうしたプログラムを促進することは、国民に対する行動制限を緩和し、同時に変異株の感染拡大を抑制するために取るべき重要な措置だ。
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編集=木内涼子

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