ワクチン接種が完了した人については、スポーツジムやスイミングプール、劇場など、幅広い娯楽施設の利用や活動が許可されている。その際には、ワクチン接種あるいは感染からの回復で免疫を獲得したことを示すアプリ型の証明書「グリーンパス」が活用されている。
このように、大きな成果をあげているイスラエルのワクチン接種計画が開始されたのは、2020年12月19日のことだった。その迅速な展開に加え、国民のワクチン忌避感情が薄かったことも手伝って、イスラルでは感染の第3波を素早く収束させることができた。
3月23日の時点で、イスラエル国民のうち、少なくとも1回ワクチン接種を受けた人の割合は60%を突破した。さらに同国は、国民に対し2回のワクチン接種を推進する戦略を遂行している。4月11日時点で、2回の接種を完了した人の割合は57%に達した。
イスラエル国民にとって、状況は明るいように見える。ただし同国政府は、イスラエルの軍事支配のもとで暮らす数百万人のパレスチナ人にはワクチン接種を行っていないとして批判を受けている。イスラエルの領土およびユダヤ人入植地に出入りする少なくとも10万人のパレスチナ人はすでにワクチン接種を受けているものの、占領地についてはおよそ5000回分のワクチンが提供されているのみだ。
イスラエルが他国に先んじる速さでワクチン接種を進めている一方で、パレスチナ自治政府の保健庁は、世界保健機関(WHO)主導のワクチン分配計画「COVAX」と、アラブ首長国連邦(UAE)をはじめとする裕福なアラブの国々からの寄付に大きく依存している。
イスラエルで接種計画が完了したのち、接種されずに残った余剰分のワクチンが、これらのワクチンが緊急に必要とされているヨルダン川西岸地区やガザ地区に届けられるかどうかに注目が集まっている。
国連は、1月半ばに声明を発表。パレスチナ住民に新型コロナワクチンへのアクセスを迅速かつ公平に提供することは、この地域を占領するイスラエルの責務だと述べている。