シカゴを拠点とするアグテック系スタートアップ、ヘーゼル・テクノロジーズ(Hazel Technologies)のエーダン・モア最高経営責任者(CEO)は、果物や野菜の保存期間を3倍にできる技術に同社や地球の未来を賭けている。
ヘーゼル・テクノロジーズは先週13日、7000万ドル(約76億円)に及ぶシリーズCの資金調達ラウンドを終了し、2015年の創業時からの資金調達総額を8700万ドル(約95億円)以上に引き上げた。
米農務省から助成金を受けたことがある同社は、現在は12カ国で160ほどの顧客を抱えている。それには、ハスアボカドの世界最大の生産者ミッション・プロデュース(Mission Produce)や、キウイの世界最大の販売業者ゼスプリ(Zespri)も含まれている。
シリーズCラウンドは、ポンティファクス・アグテック(Pontifax AgTech)とシンガポールの投資会社テマセクが共同で率いた。
ポンティファクスのアグテック担当副社長を務めるティム・ブルースは、発表で「同社の画期的なソリューションにより、サプライチェーンを通じて食品廃棄物が減り、世界中の小売業者や消費者にとっては高品質な生鮮食品がぐっと入手しやすくなる」と述べた。
ヘーゼル・テクノロジーズは、発足から2021年末までに10億ポンド(約45万トン)近くの農産物が廃棄処分になるのを防止したことになると見積もっている。
食品廃棄物は、米中に次ぐ温室効果ガスの排出源
モアはシカゴから筆者の電話取材に応じ、食品廃棄物を1つの国だと考えると、米国と中国に次ぎ世界で3番目に大きな温室効果ガス排出国になると指摘した。
食品廃棄物は生産される全食品の約3分の1を占めていて、サプライチェーンのあらゆる地点で起こり得る。その多くが生じるのが人々の冷蔵庫の中だ。ヘーゼルの技術は、こうしたプロセスのさまざまな部分で問題に取り組むことができる。
モアが起業したのは、ノースウェスタン大学で化学の博士課程を取得していたときだった。彼と4人の大学院生は、大学が主催するアクセラレータープログラムを通してヘーゼル・テクノロジーズを創設。元々の共同創業者のうち3人はまだ同社で働いている。
「当社が世界に商品を出したのは2016年で、その性能の高さから需要がほぼ一夜のうちに急増した」とモア。
同社で働く従業員の数は現在45人ほどだ。モアは新たな資金調達により、従業員数は今年末までに60人まで増えることを見込んでいる。またモアは、今回の資金調達により同社の世界的な拡大も促進されると説明した。