スポンサー契約からの今後の収入は6億ドル(約650億円)、さらには10億ドル(約1100億円)になるとも推定されている。マーケティングの基本原理に基づけば、松山のスポンサー契約が増える理由は主に4つある。
1. ゴルフの選手生命は長い
松山のマスターズ優勝は実績に基づくもので、一度のみのまぐれではない。松山はPGAツアーで既に5回優勝しているほか、競争が激しさを増す日本ツアーでも8回優勝している。
松山は現在、世界ランキング14位で、自己最高順位は2位。現在29歳と、ゴルフのキャリアの全盛期に入ろうとしている。ゴルフは他の大半のスポーツと違い、50代や60代の選手も活躍を続けている。
2. セレブ広告塔としての素質
ハーバード大学のハーバート・ケルマン名誉教授(社会倫理学)のモデルに基づくと、効果的なマーケティングメッセージを作る要素は信頼性、魅力、影響力の3つだ。
松山はこれら3要素のすべてを兼ね備えていると言えるだろう。成績と収入の両面で大きな成功を収め、高収入層が多いゴルフファンが好むような複数の商品カテゴリーで高い信頼を得ている。
松山は物静かではあるものの、魅力的な人格を持ち、健全でエネルギーにあふれ、妻と幼い娘がいる。また、スキャンダルを引き起こしたこともない。マスターズ優勝後の発言では、日本の若者の模範となりたいと明言した。
マスターズ優勝により、消費者や一般人の間で松山の知名度が上がったのは明らかだ。松山は日本や、日系米国人の消費者、また世界の多くのアジア系消費者から一定の共感を集めるだろう。アジアの国々や文化を一緒くたに扱うことはできないが、松山の謙虚で気取らないイメージは、幅広い層に支持されるものだ。
最後に、トップゴルファーという地位により、影響力も確実に備わっている。ゴルフファンが関心を持つようなさまざまな商品において、契約オファーが殺到することは間違いないだろう。