VinFastは、1993年にファム・ニャット・ヴオン(Pham Nhat Vuong)が創業したベトナムの巨大コングロマリット、Vingroup(ヴィングループ)の子会社だ。ヴオンは、旧ソビエトで大学に通った後、レストランビジネスを経てVingroupを設立し、不動産やスマートフォン、病院、コンビニ、ソフトウェア企業を含む複合企業に成長させた。
事情に詳しい2人の関係者がロイターに話したところによると、Vingroupは香港のクレディ・スイスと共に、VinFastをニューヨーク証券取引所に上場させる計画を練っているという。この件を12日に報じたブルームバーグによると、VinFastは上場によってベトナム企業としては過去最大の30億ドルを調達する可能性があるという。
2017年に設立のVinFastは、2019年に最初の自動車を発売し、今年1月に米国と欧州市場向けのSUVモデルを発表した。IPOの噂を受けて、同社は次のような声明を発表した。
「当社は、様々な資金調達の機会を検討していることを明確にしておきたい。そこには、エクイティによる資金調達やIPO、特別買収目的会社(SPAC)との経営統合が含まれるが、それらに限定されない。取引が決定した場合には適切な発表を行う」
噂されている600億ドルという評価額は、現在のフォード(480億ドル)やステランティス(470億ユーロ)を上回る。また、NIOの評価額(580億ドル)とほぼ同じで、GM(840億ドル)よりは低いことになる。
VinFastが投資家向けに公開した資料には、同社の急速な進歩や洗練された車両デザイン、製造キャパシティなどが説明されており、2020年の納車台数は2万9485台で、2019年の約2倍に伸びたという。
フォードは昨年400万台を納車しており、それに比べればVinFastの台数は桁違いに少ないことになる。しかし、より適切な比較対象は、2020年に7万5641台を納車した中国のEVメーカーのNIOかもしれない。
Vingroup自体は、ホーチミン証券取引所に上場しており、時価総額は478兆ベトナムドン(約210億ドル)とされている。そのことから、VinFastの評価額の上限は、親会社であるVingroupの210億ドルになると考えられる。