これを受けてアマゾンのジェフ・ベゾスCEOは、労働者の待遇改善に注力する必要があると述べた。ベゾスは15日付けの毎年恒例の株主向け年次書簡の中で、「地球で最高の雇用主になり、地球で最も安全な職場になることを目指す」と語った。
労組の結成に向けての動きは、特にパンデミックの発生後に倉庫従業員の職場の安全が守られていないことや、長時間労働、過酷なノルマなどが問題視される中で高まった。
しかし、ベゾスは書簡の中で、アマゾンが従業員を酷使しているという報道に反論し、「94%の従業員が友人にアマゾンで働くことを勧めている」という社内調査の結果を紹介した。「いくつかの報道を目にすれば、当社が従業員を大切にしていないと思うかもしれないが、それは正確ではない」とベゾスは述べている。
また、従業員の安全性を向上させるための継続的な取り組みとして、ケガの原因となる反復運動を減らすため、従業員をさまざまな種類の仕事に振り分ける自動化された人員配置スケジュールを挙げ、2018年から時給15ドルの最低賃金を導入したことをアピールした。
ベゾスは今年の第3四半期でCEOを退任し、その職務をアンディ・ジャシーに引き継ぐため、1997年から続けてきた書簡はこれが最後になる。
「私たちは、従業員のためにもっと良い仕事をしなければならないと考えている。投票は一方が圧勝する結果となり、われわれは従業員とじかに強固な関係を築いているものの、従業員のために、どのように価値を創造するかについてより良いビジョンが必要であることは明らかだ」とベゾスは書簡で述べた。
「ベゾスが本日認めたことで、職場の状況について私たちが言ってきたことが正しいことが証明された」と、ベッセマーで労組結成への動きを主導したRWDSUのスチュアート・アペルバウムは声明で述べた。
「しかし、彼が認めても何も変わらない。労働者が必要とするのは、アマゾンによるダメージコントロールのためのPR活動ではなく、労働組合だ」と彼は続けた。
投票に先立ち、アマゾンは倉庫内のポスターやウェブ上の広告キャンペーン、大量のテキストメッセージなどで、反組合のキャンペーンを展開した。仮に組合結成への動きが成功していたならば、ベッセマーの倉庫は米国で初めて組合を持つアマゾンの倉庫となり、アマゾンだけでなく小売業界にとっての分岐点になると考えられていた。