旅から読み解く「グローバルビジネスの矛盾と闘争」

POPLチーズバーガー(photo:Ditte Isager)

コペンハーゲンのクリスチャンスハウン地区に、何度もレストラン世界一に輝いた名店「ノーマ(noma)」のチームが手がけたバーガー・レストラン「ポプル(POPL)」がある。

コロナの影響で営業停止していたノーマは、昨年夏、それまでの業態とはまったく異なるワインバー兼バーガーのテイクアウトの店として期間限定で営業を再開していた。POPLは、その人気メニューが食べられる常設レストランとして昨年12月にオープンした。

コミュニティのためのレストラン


店名のPOPLは、ラテン語のpopulus(ポプルス)に由来するもので、人々のコミュニティを意味する。同時に、Populusはポプラの木も意味する単語で、ノーマ・ファミリーの自然に対する敬意を表明する名前でもある。

ノーマが、昨年バーガー店として再開した際には、大きな反響があった。“予約の取りづらいレストラン”として有名なノーマは、限定40席、研究され尽くした地元素材を使ったアーティスティックな20品のテイスティング・メニューのみの展開。非常にエクスクルーシブな店として知られていた。ところが、もっとも大衆的なメニューとも言えるハンバーガーを提供する予約なしの店として、人々に開かれた場所として開かれたからだ。

期間限定の試みは、初日300食を準備してオープンしたのに対し、最終的には1日平均2400食のハンバーガーを販売するまでの人気になった。ガーディアンの記事のよると、週4日間営業、たった5週間のポップアップで、ノーマの営業6年分に価する来客があったそうだ。

ノーマのオーナー・創業者・シェフ長であるレネ・レゼピ(René Redzepi)は、すべての人がアクセスできるということが、これほどにも重要であるということを思い知らされたという。列をなす人々のなかに、同級生、近所の人、家族や親戚といった自分の知り合いの顔を見るという経験は、レゼピにとって新鮮で非常に喜ばしいものだったようだ。

オープンの際、レゼピは自身のインスタグラム投稿で「We need to heal(元気を取り戻そう)」というメッセージを発信していた。コロナの影響で、これまでの社会生活が中断され、コミュニティが分断されてしまった状況に対し、彼のレストランは開かれたものである必要があった。

ポップなブランドと、最高のプロダクト


「POPL」は、そのブランディングも印象的だ。ロゴとブランド・アイデンティティは、ニューヨークのクリエイティブ・スタジオ、グレーテル(Gretel)が担当。同社は、過去に、ノーマ・ファミリーの一つであるパン店「ハート・ベアリィ(Hart Bageri)」のブランディングも担当している。


(photo:Ditte Isager)

POPLのロゴは、最初のPの前にコロン(「:」)が配されており、美味しい顔の絵文字(「:P」)が浮かび上がる遊び心溢れるデザインだ。丸みを帯びたデザインやオレンジ系のブランドカラーは、まさに元気を取り戻させてくれるような強さがある。そのほかのビジュアル・アイデンティティからも、北欧デザイン的なシンプルさと手描き感のある温かみが感じられる。

文=MAKI NAKATA

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